数分後脱衣所から、白蘭がバスローブを羽織った状態で出てきた。
名無しは一枚の新しいタオルとドライアーを持って白蘭に近づく。
そして、椅子に座るように言うとコンセントを差して白蘭の髪の毛を乾かし始めた。
「あ〜気持ちい。いい手の動きしてるねー名無しチャン。」
「なんかヘンタイ発言に聞こえるのはあたしだけ?」
そんな会話をしつつも素早い動きで白蘭の髪の毛を乾かす。そしてある程度乾いてきたら櫛を取り出し、髪の毛のセッティングに掛かった。
10分後、いつもの白蘭の髪型完成。
名無しはカチッとドライアーをとめるとコンセントを抜き、ドライアーを置いた。
そして、隊服を持って白蘭に寄る。
「ほら、着替えて。あたしは外で待ってます。」
隊服白蘭に渡して部屋を出ようとした瞬間、腕が掴まれた。
「......なんですか。」
なんか嫌な予感するんですけど。
「着替えさせて?名無しチャン。これ命令。」
的中だよ!!
着替えさせてって、アンタどこの幼稚園児ですか!
「な、なに言ってんの。」
引き攣った笑みを浮べながらゆっくりと後ろに下がる名無し。
しかし、それと一緒に前から迫ってくる白蘭。
トンッ
背中に当たる壁の感触。
逃 げ ら れ な い
「や、やります。やるからお願いだから迫ってこないで。」
名無しはため息をつきつつ、白蘭に隊服を着せた。
無論、いろいろ見えたけど....
「まったく、無駄な苦労をかけさせんな。」
名無しは白蘭と共に部屋を出ると食事をとるための部屋へと向かう。
名無しは後ろを歩く白蘭になど目もくれず、さっさと歩いて行く。しかも愚痴をこぼしながら。
「本人のいる前で悪口言わないでよ、名無しチャン。」
白蘭の困ったような声が後ろから聞こえたがスルー。
名無しは愚痴をやめることもなければ、歩く早さもかえなかった。
「名無しチャン、僕の隣歩いて。」
その言葉にピタリと動きを止める。
名無しはチラリと白蘭に目線を向けると、一つため息をつく。
そして身を翻し、白蘭の隣に並んだ。
「ありがと、名無しチャン。」
そんな名無しの行動に白蘭は頬を緩ませた。
「遅いですよ、白蘭さん。」
部屋の扉を開けると、そこにはオレンジの髪の毛をしためがねの男の子。
「(誰?)」
見たことが無い。分かることといえば、ホワイトスペルだということくらいだ。
「正チャン、早いねー。」
クスっと笑いながら白蘭はオレンジ頭に返事を返す。するとオレンジ頭は「白蘭さんが遅いんですよ。」と言って顔をゆがめた。
「ところで、その横の方は?また女遊びですか?」
.........女遊び?!
「違います。断じて違います。間違えないでください。ただの世話係りです。やめてください。」
早口に淡々と白蘭を拒否する言葉を述べる。微妙に白蘭の顔も引き攣っている。
「そんなに僕のこと嫌いだったの?名無しチャン...」
哀しそうな瞳...
淋しそうな声...
あ、なんかかわいそうになってきた。
「いや、あのですね。嫌いではなくて..ただ、
うざいし
面倒くさいし
セクハラするし
時折ぶっ殺したいなぁ
って思ってるだけだから。」
「いや、むしろ普通に嫌いって言われた方が心の傷は浅いよ....。」
そこまで言われると流石の僕も沈む..
「で、結局誰なんですか。」
二人のやり取りを遠目で見ていたオレンジ頭が痺れを切らしたように問いかけてきた。
「さっき名無しチャンが言ってたと思うけど、僕の世話係。どこの所属かあえて言うなら第0部隊だよ。」
白蘭がそういうとオレンジ頭は席を立ち上がり名無しの目の前に立つと手を差し出した。
「そうだったんだ。よろしく、僕は入江正一。ホワイトスペル第二ローザ隊 隊長Aランクです。」
名無しは一応上司なので「よろしくお願いします。」と敬語で対応し手を握る。勿論笑顔も忘れずに。
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