「そういえば....さっきずいぶんグロ君に迫られてたみたいだけど、なんにもされなかった?」
そういってさきほどグロ・キシニアが触れていた頬にそっとふれる。つめたい白蘭の手が頬を包み込んだ。
「な、なんにもされてない....よ?」
やべ、声がうわずって疑問形になってしまった!!
「ふーん、なんで疑問形なのかな?」
ググッと近づく白蘭の整った顔。今の白蘭は怖い。でも...
さっきグロ・キシニアに迫られたときよりはやっぱり数倍、いや数百倍マシ!!(まだ言うかっ)
そんなことを考えていた間にずいぶんと白蘭の顔は近づいていて、白蘭の吐く息が顔にかかる。
そして白蘭は、あたしの唇に
噛みつくようなキスをした。
一番最初に会ったとき、マシュマロを無理やり食べさせられてキスをしてしまったけどその時のキスより、今の方が数段激しい。
息が.....できません。
「んっ、びゃ...くら、苦し」
絡まる舌が邪魔をしてうまくしゃべれない。
段々と力が抜けていくのが分かった。
「も..う...ム....._」
チュッ
気絶寸前のところで、軽くリップ音を立ててやっと白蘭の唇が離れる。
ズルズルと床に座り込む名無し。それを見て白蘭は深く深く微笑む。そして名無しの目線までしゃがむとそっと耳元に唇を寄せた。
「もう、勝手なことしちゃダメだよ?じゃないと僕...._」
「っ....!」
バッと白蘭を見るとそこにはいつもの笑顔。さきほどまで感じていた恐怖はもう感じない。
「さっ、行こうか。」
差し出された手。
名無しは白蘭の言葉に動揺を隠せないまま、その手を握った。
「そういえばさ、グロ君のところに行く前、君第三部隊のところにも行ったでしょ。」
それからの道中?はいたって普通だった。白蘭もいつもの白蘭だったしあたしも、あんなことがあったにもかかわらず普通に接している。
「うん、すごく腹の立つ連中だったけど。」
手をつないだまま廊下を歩いているので、度々すれ違う人から好奇の目で見られているが白蘭は無視、名無し至っては気づいていない。
「太猿君のこと飛ばしちゃったんだって?すごい勢いで野猿君が怒って僕のところにきたよ。ダメじゃないか、他の隊に行って悪さばっかりしちゃ。」
「だって、ホワイトスペルがどうとか教育がなんだとか悪口ばっか言うから。」
なんであそこまで言われなくちゃいけないのか、全然理解できない。おなじファミリーのくせに。
「まぁ、そんなに仲よくないからね。ホワイトスペルとブラックスペルは。」
白蘭の話を聞いて、そんなものなのだろうかと思ったが特に突っ込んでも仕方ない。名無しは「あっそ。」と短く相槌をした。
「ということで、一応謝りにいくからね。今から。」
「......は?」
謝りにいく?あいつらに?冗談じゃない。
「あたしはいかな「ほら、着いたよ。」
はやっ!!
てか、謝りに行くか行かないかの選択権は全くなしなのね。
コンコンッ
と二度ノックをすると、白蘭は返事を待たずに扉を開けた。もちろんしっかりと名無しの腕はつかんでいるので名無しも一緒に部屋の中へ。
「やぁ。大丈夫かい、太猿君。」
ニコリと笑って声をかける白蘭とは反対にムスッとふくれっ面の名無し。
「どーも、我がミルフィオーレファミリーボス、白蘭サマ。俺の部隊になにか用か?」
部屋にいたのは太猿と野猿だけでなく太猿の倍偉そうな金髪オールバックだった。
俺の部隊ということがこいつが第三部隊の隊長、γだ。
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