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冗談でしょ。

過去に何度も重ねた血色のいいナマエの唇が紡ぎだした言葉


「さよなら、エメットさん」


別れを告げる4文字に平気なふりをして笑顔を崩さないようにしていたらそれがナマエの癇にさわったみたいで



「もうこれからはお互い赤の他人ってことでお願いします」





ってキッツい台詞を投げ棄てられちゃった。そもそもボクの浮気癖が原因なんだけど。ちょっと笑顔をくずしそうになったけどボクのちっぽけなプライドが邪魔して



「わかった。それじゃバイバイ。お幸せに」


なんてなんでもないように席を立とうとして紅茶が入っていた空のカップをひっくり返して割ってしまった。かっこわる。


それでも今さらひけないから軽く舌打ちして音を聞きつけてやってきた店員に謝って代金を押しつけてそのまま店を飛び出した。




ナマエの顔を見れなかったからどう思われたのかわからないけど追いかけてこられたらたまったもんじゃない、逃げるように街の人混みに溶けこんだ




もうとっくに日も落ちているのに人工の明かりで装飾された街には人々が行き交い賑やかで、孤独感が一層募ってくる。




いっそ寝てしまおうと一度は家に帰ったけれどナマエのことばかり考えて目はさえきっていて。

都会の喧騒に少しだけ癒され、テキトーな女をひっかけてホテルに行って、腰をうちつけても気持ちいいのに気分は晴れなくて


やっと眠れたというのに夢のなかでもナマエのことばかり考えていた。








*







(またアイツといる…)



ナマエと別れて数日、ナマエに新しい男ができたとインゴから聞いたけれど真偽を確かる気にもなれずにいたのに、
たまたま喫茶店に入ろうとして店内にいるナマエと見知らぬ男が仲良さそうに話しているのを自分の目で見てしまった。
入るのをあきらめ、その日はそれで終わったけれど

その後も3日に1回は喫茶店でナマエと知らない男が仲良さそうにしているのを見た。



その喫茶店はボクのお気に入りだったところで、ナマエに教えたのもボクなのにこんなに頻繁に男連れでくるってことはボクへのあてつけなのだろう。






「そっちがその気なら…!」














*



(また違う女…)


数週間前、私はエメットさんに別れを告げた。
理由はエメットさんが浮気したから。ただの浮気なら別れようとする前になにかしら話し合いの場をもうけてだいたい和解するんだけど今回は本当に頭にきた。


デートの約束を完全に忘れていたうえにライキャスにも出ないからすごく心配したってのに
私が待たされていた時間、エメットさんはホテルで他の女と一発キメてやがった…!




1日経ってから冷静になってエメットさんに別れを告げたけれど全然気にしてない様子で、私はムキになってエメットさんに絶縁状を叩きつけた。





でも自分から別れを告げたのに頭の中はエメットさんで一杯で。
夢にもでてきて胸が苦しくてしょうがなくなって、好意を告げてきた男性と軽くし付き合いつつエメットさんに教えてもらった喫茶店に足を運んだ。



きっとエメットさんはここにくるだろうから。エメットさん以外の男といる私になにかしら感じてもらえたら、私のことをまだ好きでいてくれたら
なんて微かな期待をしていたけれど、何度足を運んでもエメットさんから連絡がくることはなく



ようやくエメットさんが来たかと思えば知らない女と一緒で。私の浅はかな期待は脆くも崩れ去った。




1人になるとどうしてもエメットさんのことを思い出してせつなくて、苦しくて思い出の写真を見ても心がかき乱されて



それでもあきらめきれずに私は今日も喫茶店へと足を運ぶ


















(そんなやつなんて見ないで、)



(ボクのことだけを見つめてよ)
(私のことだけを見つめて欲しい)









─────



お互い気をひきたくて空回ってる意地っ張りな2人。





某曲のインディーズver.をイメージ



you never come back to me…?
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