サブマスでホワイトデー






「今日は何の日でしょー?」


いつも通り仕事を終え、更衣室で着替えを済ませると突如入ってきた白い上司、クダリさんに問いかけられた。


「今日ですか?」


更衣室にノックもなしに入ってきたこの上司に文句のひとつでも言ってやろうかと思ったがたぶん言ってもてへぺろー☆程度にしか返されないだろうからあきらめて質問の答えを考える。


「うん!3月14日!」


そう言われてようやく今日がホワイトデーだということに気がついた。
そして同時にバレンタインを思いだし顔が青ざめるのを感じた。


先月、バレンタインのことをすっかり忘れていた私は夜も更けてからあの2人にチョコを要求され、忘れていた旨を伝えたら拗ねられて


つい、

「材料があれば…」なんて口を滑らせたが為に2人の家へ連行されチョコフォンデュパーティーに強制参加させられたのだ。


内容は…あまり思い出したくない。しいていうなら胸焼け、アルコール、セクハラ、二日酔いという感じか。
とにかく色々大変だった。




「そういえばホワイトデーですね。なにかくれるんですか?」


あまり期待はしてないけれど、一応聞いてみるとクダリさんはすっごくいい笑顔で




「ホワイトチョコでフォンデュパーティーしよ!」




楽しそうなクダリさんとは裏腹に、私は自分の顔から血の気がひいていくのを感じた。



バレンタインのフォンデュパーティーはぶっちゃけトラウマ級だった。
それなのに今度はホワイトチョコでフォンデュって。

いやいや無理無理。ホワイトチョコって大量に食べられるもんじゃないし


「私、ホワイトチョコ苦手なので遠慮しときますね…」


おそらくひきつった笑顔でやんわり断ろうとするが



「食べなくても大丈夫!」


ニコニコと口を逆三角にして無邪気に笑う彼は顔だけ見ればさながら天使なのになぁ、顔だけ見れば。
ん?食べなくてもいいってどういうことだ?



「食べるのボクらだか「クダリ、それを言うのはまだ早いですよ」


クダリさんの言葉を遮って現れたのは黒い方の上司、ノボリさん。


「さて、ワタクシも仕事を終わせましたので早速我が家へ行きましょうか」


「出発進行!」



思わずつられて笑いそうになる素敵な笑顔なのに私の顔は確実にひきつっていたに違いない。



クダリさんが言いかけた言葉に嫌予感しかしない。全力で逃げようとするが更衣室に逃げ場はなかった。すぐに腕を掴まれ、半ば強引に連れて行かれる。





またトラウマが増えそうだなぁ、と涙目で思った。










(わーエローい!)
(ブラボー!長年の夢が叶いました!)
(こっの、変態ども!!)





何があったかはご想像におまかせします。






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