4月20日 晴天


はじめましてこんにちは。
私の名前はミハル。高校3年生。


実は2度目の3年生なんだけど、まぁその理由は追々ね。








もうすっかり着慣れた制服に袖を通し、買い溜めしておいた板チョコを数枚ポケットとカバンに詰め込んで最愛のパートナー、ヌオーと一緒に家を出る







学校に着いて、ヌオーをモンスターボールにしまう。校則で校内では一部を除いてポケモンは出してはいけないことになっているのだ。色々大変なことが起きるからね。

ほんとはヌオーとは片時も離れたくないんだけど。



誰もいない廊下を突き進み、自分の教室のドアを勢いよくあける。
クラスメイトが一斉に何事かとこちらに目を向ける。



「ミハル、始業式ぶりだな。やっと登校か。もう3時間目だけどな」


ラッキー。丁度担任の授業だ。


「すいません担任がアナタだと知って寝込んでいました」


しれっとそう言い放つと担任教師はもう慣れている、というようにため息をついた
この教師は4年連続担任だ。今年も3学年担当ですか。それってありなのか。私のお目付役か。


「で、私の席はどこですか」


「お前に席が必要あるのか」


「授業中ってよく眠れるんですよ。知りませんでした?」


「そんなお前には窓際後ろの特等席を用意してやった」


スッと指さされた位置は日当たり良好な特等席


「わーい。ありがとうセンセー」

「どういたしまして。だから他のみんなに迷惑かけるなよ」



念を押すように言われる。信用ないなぁ。
はーい、と適当に返事してすたすたと自分の席に向かい、腰をおろすと担任は安心したように


「よし、授業再開」



とチョークを持ち直した。




ミハルはというと早速板チョコを取り出してかじりつく。パキッという軽快な音に反応して隣の席の人がこちらを向いた。
好奇の目で見られるのはいつものことだから気にせず食べ続けると


「いいなぁ…」


と小さなため息が聞こえた。


ちらりと見ると羨ましそうにこちらを見るイケメン。変わったモミアゲしてんな。


「チョコ好きー?」


唐突に話しかけたもんだからちょっとびっくりしてたけど気にしない。


「うん、大好き」


「食べるー?」


と新しいチョコを取り出して差し出す。私はチョコ好きには優しいのだ。


「え、いいの?」


「うん。お近づきのしるしに」


「ありがとー。授業終わったら食べるね」


常識人だなぁ。それが普通か。
会話が終了したようなので再びチョコをかじろうとした途端、視線に気づいた。クラス中がこちらを見ている。それに気づいて隣の人も慌て始めた。



「ミハル!堂々と食ってんじゃない!クダリ!騙されるなよそいつはイカレてるからな!」


「センセーってばひどーい」


けらけらと笑うミハルに教師はまたため息をついて授業を再開した。まだ新しいクラスに慣れてないみんなはどう反応していいか戸惑っていた。


そうか。クダリというのかこのイケメンは。



クダリ。よし覚えた。寝よう。
















それから私は4時間目が終わるまでぶっ通しで寝ていた。
昼休みを告げるチャイムで目を覚まし、お昼ごはんの為に食堂に向かおうとした。

なのに。



「ミハル、ついてこい」



去年お世話になった生徒指導部長のセンセーに連行された。



「クラさん、なんで生徒会室なんですか」


「執行部の人手が足りんくてなぁー。お前4年目やし色々わかるやろ?」


「は?いやいや私はやりませんよ?」



「執行部って鍵の管理まかされせとるんなー。食堂の割引もあるし。執行部ならポケモンだしたままでもオッケーやしなぁ」


クラさんは私の性格をよく知っている。何度も何度も指導されて、よき理解者でもある。

私にとって魅力的なメリットをどんどんあげていく。負けそう。



「顧問は俺だから融通きくんやけど?」


「是非やらせていただきます!」

「よっしゃ決まりやな」



うまくのせられた気もするが私は楽に過ごせればそれでいいんだ。

ヌオーと一緒に過ごせるしね。




「じゃあ、入って自己紹介でもしたってや」


書類はまかせとき!といってクラさんは去っていった。おいおい詳しい説明は無しかよ。

まぁいいや、と呑気にドアを開けた。


「しつれいしまーっす。新しく執行部に入りましたミハルですー」


中に入ると居たのは3人だけ。5つの業務机がくっつけられ、手前に2人と奥に1人。あれが生徒会長か。


視線をずらすと応接室にありそうなソファーと机。お茶請けもおいてある。小さい応接間か。いいなあそこ。


「ようこそいらっしゃいました」


ん?んん?


「クダリ…によく似ているが、アンタが生徒会長?」


丁寧な挨拶をしてきたその人はクダリにそっくりだがなんか微妙に違う
つか表情がまったく違う。口がへの字の仏頂面だ。


「おや。クダリを知っているのですか。はじめまして、クダリの双子の兄、ノボリと申します。生徒会長をやらせていただいてます」


喋ると全く似てないな、と思った。しっかしかたっくるしい言い方だな。


「はじめましてミハルさん、僕は書記のトウヤです」

「私は会計のトウコです。よろしくミハルさん」


手前の2人も挨拶をしてきた。こちらも双子か。



「こちらこそよろしく」





とりあえずお互い自己紹介を済ませると、予鈴がなったので今日は解散となった。



ノボリは3のC


トウヤ君は2のB、
トウコちゃんは2のD、





ふーん。
案外楽しめそうだ。


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