支給された制服を身に着け、清掃を開始する


割り当てられたホームをモップで掃除してゆく

ゴミがあったらゴミ袋につっこんで落とし物もひとつずつ拾っていく

「広いなぁー…」



まだお客様がくる時間ではないと思ってのんびり始めたが思ったよりも時間がかかりそうだ。

ニオイのことがあるから下手にダストダスをだすのも気がひける。


でも1人でもくもくとやってるのもさびしいしできたら手伝ってくれるような手持ちが欲しいなぁ、なんて。


「…ん?」



ぼけーっとしながら進んでいたら視界の隅に見慣れない色が見えた


近づいてよくみると…


「なにコレ」

よくみてもわからない


薄い紫の…へどろみたいな?


「それはメタモンだね」


「え!?」


1人でしゃべっていたつもりが突然後ろから声をかけられたもんだからかなりびびった



「クダリさんじゃないですか…」

やっぱりというかなんというかふり返った先にはやっぱりあのにんまり顔


「メタモン知らなかった?」

「いえ、知ってます。実物をみたのは初めてなので」

じっ、とよく見れば確かに目と口が見えた


「迷子かなぁ…」

「かもしれないね」


たまにいるんだ、と呑気に言う。


「おいでー」

下から手をのばすと案外簡単にすり寄ってきた


うんうん。かわいい
見たところケガなんかもないようだし。とりあえず預かっておこう。



…ところで


「クダリさんここでなにしてるんですか?」

今は休憩時間でもなんでもない。むしろ今から忙しくなるだろう時間帯だ


「ツグミに会いにきた」


抱えていたメタモンを落としそうになる

整った顔でにっこり言われたら動揺もしますって。




ごめんよ、メタモン


「よく恥ずかしげもなくそんなことが言えますね」


半ば呆れつつときめきましたけどね





この子とこの人をどうしたもんかとおもいあぐねていると向こうからノボリさんがやってきた


「クダリッ!アナタまたサボってなにをしてるんです!」


無表情にプラスして眉間に皺をよせるノボリさんめちゃくちゃ怖いです

クダリさんはそれに動じた様子もなく


「ちぇー。もうきたの?」


つまらなそうに文句を言っている

「どうせツグミ様の元だろうと思っていましたからね。…さぁ行きますよ」


やっぱり双子だと考えてることがわかるのだろうか。




ノボリさんのさっきの口振りだとクダリさんはサボリの常習犯なのだろう



「ツグミ様ご迷惑をおかけして申し訳ありません」


「いえ、全然迷惑じゃないですよ」

「ありがとうございます。ところでそのメタモンは?」


私の手元に視線を向けるノボリさん。


「迷子みたいなんですけど、私が預かってても大丈夫でしょうか」



「そうでございましたか。構いませんよ。ワタクシが報告だけしておきます」

届けがあったら伺いますので、と言ってくれるノボリさんは頼れる上司、って感じだ。


それに比べてクダリさんと言えば、私とノボリさんの会話中に逃げ出そうとしてノボリさんに首根っこを掴まれて文句を言っている




話も終わって2人は仕事に戻る

じゃーねーと手を振るクダリさんに手を振り返して自分も仕事に戻る。



ヤバい、時間無い初日から満足に仕事できないとかクビになるわ


メタモンを肩に乗せて
慌ててモップをかけ始めた








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