ギアステで働き始めて早くも1ヶ月。

仕事にもなれて生活のリズムも整ってきた。



相変わらず親からの連絡も無いし、これといって変わったことも無い。
メタモンを引き取りにくる人も現れないままだけどなついてくれてうれしい。



そういえば最近クダリさんにあまり会ってないかもしれない。たまにサボって会いにきてくれるけどすぐノボリさんに叱られて連れ戻される。

ノボリさんがいうにはもうすぐ新しい設備が導入されるとかで忙しいらしい。



私は私で朝からホームを掃除してまわっている。


「ふーっ!一息ついたね。メタモン、今日もありがとう」


メタモンは最近私の仕事を手伝ってくれるようになった。日替わりで両手の使えるポケモンにへんしんしてモップやらゴミ拾いやらしてくれて大助かりだ。



メタモンがへんしんをといたのをみて肩に乗せる。彼のお気に入りらしい。





「差し入れでもしてみようか」


ふとそんなことを思いついた
クダリさんには色々とお世話になってるし
実は先日初のお給料をもらったのだ。
家出の際に持ち出した資金も尽きそうだったので助かった。


寮に入らせてもらったおかげで多少は浮くし、お礼の意味も含めてなにか差し入れてみよう。



「思い立ったが吉日!いくよメタモン!」



メタモンを振り落とさないように駆け出した。











「お2人はなにが好きなんだろう…!?」



いざ買おうと買い物カゴを手にとったところで気がついた。遅い!



「クダリさんは前にプリンで喜んでくれたからプリンにしようかな…」


でもノボリさんがプリン食べるイメージないなぁ




どうしようかな。手作りなんてしたことないしなぁ。





うーん…
















──────






差し入れを抱えて執務室の前にたっているツグミ。
ここにお2人がいるはず。
しかし持ってきたのはいいけどただの清掃員が入ってもいいのだろうか。そもそもクダリさんに仕事を斡旋してもらっただけの一般人じゃないか。
差し入れなんておこがましいのでは…?




もやもやと思考をめぐらせていると急に後ろから膝に衝撃を受けて倒れてしまった



「うぇっ!な、なになに!?」



「膝カックン大成功!でもツグミ大丈夫?」


笑顔で手を差し伸べてきたのは膝カックンをしかけてきた張本人、クダリさんだ。




「私は大丈夫です…。ああっ、メタモン!!」


差し入れをぶちまけずにすんだのは幸いだった。
メタモンはぶっ飛んだけど。



慌てて駆け寄るとさも気にしていないようにまた肩に乗ってきた。軟体動物なのか。クダリさんがごめんね、と謝ると気にするな。とでもいうように笑った(いつも笑ってるけど)



「で、ツグミここで何してるの?」



「うっ、…あのー…最近お2人が忙しいと聞きましてね?さしでがましいかもしれませんが」



もうこうなったら仕方ない!と開き直り
これ、差し入れです!と手に持っていたものを差し出した。するとクダリさんは一瞬驚いた顔をして受け取り、中身をみて笑った。


「すごい!プリンにチョコにマシュマロにクッキー…ポフィンもある!たくさん!」




そう、結局なにがいいのかわからなかった私は手当たり次第に買ってみたのだ。なにかしら気に入ってもらえれば良いが。



「こんなにたくさん食べきれない!ツグミ、今から一緒にお茶しよう?」


そう言って執務室のドアを開けたかと思うと返事もしてないのに背中を押されて入らされた。



「ノボリー」


「クダリ!アナタまた…おやツグミ様」


中に入ってクダリさんが声をかけると書類作業をしていたノボリさんが顔をあげた。
ヤバい顔をしているが大丈夫だろうか。
目は充血してるし目のしたのクマもすごいし唇かっさかさで心なしかげっそりしている。
というかまたクダリさんサボってたのか…。


「ツグミがコレ、差し入れにって!甘いものたくさん!」


死んだようなノボリさんを気遣う様子もなくクダリさんが差し入れを掲げるとノボリさんの目がカッ!!と見開かれて




「ブラボー!スーパーブラボー!!ツグミ様ありがとうございます!ああやっと糖分を摂取できるのですね!」



立ち上がってうれしそうに拍手をしている。初めてみるノボリさんのテンションに若干ひき…驚いていると執務室の奥に隣接している給湯室へクダリさんが向かっていた。



「ツグミ、コーヒーとココアと紅茶、どれがいい?」


「すいません気を遣わせてしまって。クダリさんと同じでいいです」


おっけーという声を聞いてからノボリさんをみると放心していた。


「ノ、ノボリさん!?大丈夫ですか!!」


「はっ!…すいませんちょっと意識が」


大丈夫じゃないな。書類の量も半端じゃないしクダリさんは元気にサボってたみたいだしこの人過労で死ぬんじゃないか。


「ノボリさん、一旦休憩しましょ?」


「でも書類が…」


「私に出来ることがあればお手伝いしますよ。割と時間に余裕もあるので」


きっぱりと言いつけると観念したのか、ありがとうございます、と言って書類を手放した。



そしてクダリさんがマグカップを3つ持ってきたので備え付けのソファーに移動して一休みした。







ノボリさんも甘いものが好きらしい。今度手作りにでも挑戦してみようかな。







クダリさんが入れてくれたココアにはマシュマロがいくつか浮かんでいた。







───
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -