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「あれ、モンスターボールが落ちてる」

ざわざわと人が行き交うギアステーション

通勤ラッシュも終わった時間帯はだいぶ人も減っている

近くの人達にモンスターボール落としませんでしたか、と尋ねるが皆首を横に振る



届けなきゃ駄目かなぁ、と呟くと中からポケモンが飛び出してきた


「シャンデラか…」


シャンシャン、と青紫の炎を揺らめかせる

よく見るとすごく鍛えられてるようだ。
もしかして、


「サブウェイマスターの子?」

聞くとデラッシャン!と肯定するように鳴いた


サブウェイマスターともあろう方が自分の子落とすなよ…


「そっか、じゃあ探しにいこうか」

「シャーン」


と言ってもこの子は自分の力でなんとかなりそうだけど。
現になんの迷いもなく先を行き始めた
とりあえずボールを持ってシャンデラの後に続く








「シャンデラ!?」


しばらく歩いていたら前方から黒いコートと制帽を身につけたサブウェイマスターの1人がやってきた


そう、ノボリさんだ


シャンデラはうれしそうにノボリさんにタックルをかます


「アナタ様が連れてきて下さったのですか?」


制帽を正してこちらを振り向いたノボリさん

「はい。といっても私はボールを拾っただけですけど」


そう言ってボールを差し出すとありがとうございます、と丁寧に受け取る


「実はワタクシもアナタ様に会いたいと思っておりまして」


「?」


「ナマエ様」


キリッと姿勢を正すノボリさん
身長高いなぁ…


アレ?なんで私の名前知ってるの?今初めて話したのに。私廃人じゃないしバトルしたことなんてないのに

まさかストーカー…


「失敬な。ストーカーなどではございません」


「口にでてました?」

「それはもうハッキリと」


良かった。心読まれたかと思った。安堵しているとノボリさんはポケットから何か取り出して
「こちらですよ」と差し出してきた


「あ、私のトレーナーカード!」


実は昨日無くして探し回っていたものだ。シャンデラを見つけたことですっかり忘れてた


「良かったー。ありがとうございます」


ありがたく受け取ろうとするが何故かノボリさんが離してくれない


「ワタクシは、会いたい。と言いました」


「はぁ…これを渡すために、ですよね」


「それならば渡したいものがある。で充分でしょう」



どういう意味かわかりますか?と目を細められてもわからない

まさかといやそんなわけない違う違う。そんなに自惚れちゃいませんよ まさかねぇ


「そのまさか、でございます」












「今夜はご一緒にお食事でも如何でしょう?」





貴方に笑顔で聞かれちゃ断れませんって。











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