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「あー…抱きしめたい」



ギアステの休憩室でひとり呟く

最近事務が忙しくて心身共に疲労が溜まっている


私は疲れてくると無性に誰かを抱きしめたくなってくるのだ

寒い季節は尚更。



「こう…後ろからギューッとしがみつきたいんだよね」


しかし恋人もいないので気軽に抱きつけるような人がいない
クダリさんはよく抱きついてくるけど…


「違うんだ…!こちらから抱きつきたいんだ!」


「ナマエちゃん何ゆうてるの」


立ち上がって思わず拳に力をいれて声をあげたら後ろから声をかけられた

盛大な独り言を聞かれてしまった


「クラウドさん…」

「残業お疲れさん。で、なにしてんの」

「ちょっと休んでただけですよ。…お父さん、ちょっとあっち向いて下さい」

「誰がお父さんや」


なんやかんや言うことを聞いてくれるお父…クラウドさんはガテン系でたくましいからいいかもしれない。うん。


「失礼しまーす」



ぎゅむっ


「ナマエちゃん?」


ちょっと驚かれたけど流石クラウドさん。動じない。


「疲れとるんかー?無理すんやないで」


お父さん優しーい。

あーしあわ「あれ?ナマエとクラウド!?」なに?

ガチャ、と扉を開けて入ってきたのは

「ああ、ボスお揃いで」

クラウドさんの声を聞いて慌てて離れる。そして頭撫でてくれるクラウドさんまじお父さん。

まさかサブマスのお2人が入ってくるなんて…!


「お2人で何をされていたのですか」

お父さんに和んでいたらノボリが抑揚なく問いかけてきた。怖い。


「すいません私が勝手にしがみついてたんです…」

「最近残業多かったから疲れとるんやな」

クラウドさんはいつも通りだけど私はノボリさんが怖くて仕方ない。ただでさえ口がへの字なのに あああ目が怖い!すごく怖い!



「そっかーナマエおつかれ!……ねぇクラウド、話があるから一緒にきて!」


ああクダリさんは優しいなぁ…って!えっお父さん連れていかないで!「じゃあねー」じゃないよ
お願いだからノボリさんと2人きりにしないでー!!




バタン、と無情にも扉が閉められる音は死刑執行の合図でしょうか…

「……………。」



あああ沈黙がツラい!え、コレどうしたらいいの?私なにかしゃべるべき?


「…………あのー、」

「ナマエ様」

「はい!」



名前を呼ばれて返事をしたが続きの言葉が紡がれない


「ノボリさん?」


おそるおそる視線を向けるとふい、っとそらされた。え、ちょっと傷つくんですけど


「……ナマエ様は、」

しかしようやく話し始めてくれた。少し声が小さいのでおとなしく耳を傾ける



「クラウドのことが、好きなので御座いますか」


サブマスの象徴である帽子を深くかぶり直されて表情を隠される



「えっ…まぁ、普通に好きですね」


聞かれたことに素直に答えるとノボリさんがこちらに向き合って目をカッと見開いた。怖っ!


「そ、それは恋愛感情なのですか!?」


そう言って両肩を掴まれる。
かなりびっくりしたんですけど


「い、いいえ決してそういうことではありません…」

「本当ですか!」

「はい!」

掴まれたうえに揺さぶられる

おおう、ノボリさんってそんなキャラでしたっけ?


「では何故だ、抱きしめていたのです!?」


「スキンシップですぅぅう」


ガクガク揺らされて語尾がマヌケに伸びる


「クダリさんと同じですよぉー」

ピタッ、と揺さぶりを止められる。うげちょっと酔った。


「……そうで御座いますね」


肩に手は置かれたまま


「ノボリさっ…ん?」


驚いて状況が把握できない





抱きしめられてる?正面から、ノボリさんに?


「ええっと、ノボリさん!?」


思いきり抱きしめられてノボリさんの表情が見えない



「…スキンシップ、で御座います」



上から降ってきたセリフに心臓が飛び上がる


「こ、これじゃあスキンシップ飛び越えて恋人同士みたいじゃないですか」

慌てて押し返そうとしたら余計力を込められた。ギブギブ!色んな意味で倒れそう!








「いっそ恋人同士になってしまったらどうでしょう?」









ああもう駄目だ。ノックアウト。





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(白ボス、わかってたん?)
(なにがー?にっこり)
(策士やな…)






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