※18歳以下はご遠慮ください
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「ねぇ、シていい?」
ベッドの上に寝転がりながらマンガを読み耽っていたら、背後から声をかけられた。
ああ、またか。
「いいですよ、どうぞ」
仕方なく読みかけのマンガを閉じて声の主、クダリさんの方を振り返る。時刻は22時。今日は休日だが明日は仕事だ。
本当は次の日に仕事がある時はなるべくシたくないのだが、断ると彼が不機嫌になるので最近は諦めて受け入れることにしている。
「やった」
彼はそう言うとすぐに私に股がりズボンに手を掛けて脱がせてしまう。覆い被さるように両手を合わせてキスが落とされる。
リップを塗り忘れて乾燥した唇を一舐めしそのまま口内へと侵入してくる。角度は変えながら下を絡ませ、恍惚の表情を浮かべる。
「好きだよ、ナマエ」
「うん、私も好き」
初めて言われた時は嬉しくて舞い上がって思い出しては照れていた言葉も、今となってはただの義務だ。どうしてこうなってしまったのか。
繋いでいた手が離され、片手は胸に、もう片方は下へと伸ばされ、下着の上からなぞるように往復を繰り返し少しずつ指が深く押されていく。
その間にもキスは繰り返され、酸素を求めるために息が荒くなる。
「んっ…」
敏感な所に指が当たり、ゆるい快感に身を捩る。漏れ出た声に嬉しそうに口角をあげる。
「気持ちいい?」
優しく撫でるように快感を与えられ、軽く頷くと一旦指が離れて下着の中へと指が入ってきた。
「濡れてる。ナマエが気持ち良くなってくれて嬉しい」
ぬるっ、と抵抗なく指を受け入れる。
「こんなにぬるぬるで、誰でも受け入れちゃうんじゃないの」
「バカ」
クダリさんは楽しそうだ。毎日のようにこんなことをしているから私の身体は条件反射のように受け入れやすくなっているのかもしれない。
他の人と行為をしたことがないのでわからないが、流石に誰でもいいわけではない…と信じたい。
「2本でもすぐ挿入っちゃうね」
クダリさんの細長い指が気持ちいいところをなぞってゆく。
そう、気持ちいいのだけれど…
「ね、お願い」
指を抜かれたかと思えばクダリさんは自分のズボンを脱ぎ捨て下着をさげる。露になったソレをこちらに向けられる
「…はい」
一番嫌な時間だ。向けられたソレを頬張り、頭ごと前後に動く。先っぽを吸うようにしたり裏筋をなぞるように舐めあげたり、緩急をつけて様子を伺う。
「気持ちいい、よ。ほんと、ナマエうまくなったよね」
頭に手を添えられる。心の中でははやく満足してくれないかな、と願っている。疲れるし、気持ち良くもない。でも彼がコレを好むから仕方なくしているだけだ。お陰で早く終わらせられるように彼のいいところはわかってきた。
「ありがと、いいよ」
数分後、ようやく満足した彼の言葉を聞いて口を離すとすぐに押し倒され、ついさっきまで口に含んでいたソレが濡れほぐされたソコに押しあてられる。
「挿れる、よ!」
そう言ったと同時に一気に奥まで押し入ってくる。
急に訪れた圧迫感に声を漏らしながら呼吸を整える。
「動いていい?」
「は、い」
乱れた呼吸を落ち着けながら返事をすればクダリさんが少しずつ動き出す。
「んっ、あっ…」
動きに合わせて小さく声を漏らす。そうすれば彼が喜ぶと知っているから多少演技を入れてはいるが。
「っ…!」
「ここ、気持ちいいでしょ」
なぜわかるのか、クダリさんは私の気持ちいい場所を的確に当て、押し付けるようにピストンを繰り返す。
「待っ、イキそう…!」
「いいよ、イッて」
両足の指先までピンと伸ばして快感に震えているところに、一度ギリギリまで抜いたソレを一気に押しあてられると一瞬頭が真っ白になり快感の波にうちひしがれる
「ボクも、そろそろいくね」
そういうと一層動きが激しくなり、幾ばくもなくクダリさんも果てたらしい。ずるっと抜かれた感覚がなんとも言えない。
「今日も気持ちよかったよ」
そう言って額にキスをして、横になる。私はダルさに負けそうな全身に鞭打ってシャワーに向かう。ああ明日は仕事だ。きっと眠くなるんだろう。
シャワーを終えてベッドに向かうとクダリさんは寝息を立てていた。明日の朝飛び起きて慌てるんだう。欲に忠実な人だから明日のことなんて考えずに生きているんだ。この間も深夜に突然「アイスが食べたい!買いにいこう!」って連れ出されたっけ。そのくせ箱買いしといてたいして食べずに放置していたっけ。
「そっか、まだアイス残ってたっけ」
冷凍庫に眠ってるその存在を思い出した。途端に食べたくなってきた。もう日付も変わろうとしている時間に、しかも明日は仕事で睡眠時間が惜しい今食べるのはどうかと思ったがなんだかいっそどうにでもなれ!と思いきって食べることにした。
「あー…美味しい」
たまには欲に忠実になるのも悪くない、そう思うと同時に自分はクダリさんの自由奔放なところが好きになったんだっけ、と思い出す。
つい当たり前のように日常に慣れていってしまうけどたまには思い出してみるのも悪くないな、と食べ終わったアイスの棒をゴミ箱に捨てて寝る準備をした。
「でもやっぱり仕事の前日はシたくない…!!」
ジリリと騒ぐ目覚まし時計に殺意を抱きながら、ポツリと呟いた。
欲に忠実