5月16日。今日も今日とていい天気。ちょっと暑くなってきたかな、なんて。




めずらしく早く起きたからヌオーに水浴びをさせてから日向で朝ごはんのトーストをかじる。


甘いチョコクリームを塗りたくってコーヒーを啜りながら今日はなんか爽やかな1日になりそうだと思いながら今日はなんの日だろうかとネットを開いた。












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「おはよーナマエ」


早起きした分時間に余裕をもって登校すれば既に天使がいた。


「おはよークダリ。今日も天使だね!抱きしめて顔面なめ回していい?」



至って真面目に言えばクダリは困ったような笑いながら


「んー。抱きしめられるより抱きしめるほうがすきかな!あとなめまわされるはちょっと…」



「え、抱きしめてくれんの?」


「えー?あはは」


クダリに抱きしめられたら鼻血で空飛べるんじゃないかと期待のまなざしを向けたけど笑ってごまかされた。


うん、確かに天使の穢れなき純白の羽を私の小汚い鼻血で汚すわけにはいかないよね。



クダリは天使だもんね。ああでも天使って言ってもいいお年頃の思春期な男の子だよね。うん。



「クダリってエロ本とかみるの?」

「え!?なに急に!」



さっきまでニコニコ笑ってたクダリが焦ったように口元を腕で隠す。顔赤いし。生娘か。紛れもない天使だ。



「いやさ、今日って性交禁忌の日らしいよ」


「成功KinKi?」


「なんか勘違いしてない?」


たしかにそのアーティストは成功してるけど。
こうだよこう、とてきとうな紙にきったない字で書き出す。


「性交禁忌…」


「で?クダリはエロ本とか興味あるの?」





なんの恥じらいもなく聞く私。これはあれか。逆セクハラになるのか。




「そういうナマエはどうなの?」

流石に答えにくいのだろう。クダリは答えず逆に質問を返してきた。上等じゃないの。

「私?んー、さすがにエロ本はみないけどちょっとそういう系の小説読むことはあるね」


乙女の恥じらいなんて私は持ち合わせていない。女の子だって性欲のひとつやふた「あ、ノボリ」え?



「朝からなんの話をしているのですか」


振り返ればいつもの仏頂面が蔑むような目でこちらを見下ろしていた。


「今後の世界情勢につい「嘘おっしゃい」」


キリッとした顔でしらばっくれようとしたが子供を叱る母親の如くぴしゃりと遮ってくる



「ナマエさまは官能小説を好むのですか」


真顔で問いかけられて言葉につまる。クダリならなんやかんや笑ってくれるから軽いノリで言えるけどノボリだとちょっと冗談が通じないというか真面目に返されるから急に恥ずかしくなってくる。



だがこんなところでやられる私ではない!



「好むってほどでもないけどね!ノボリこそどうせ家ではベッドの下にエロ本隠してるんでしょう!?ムッツリ!」



「な、なぜそのことを…!?」


「え、マジなの!?」


「嘘です」


「は?」


勢いに任せて話を逸らそうとしたがノボリが予想外の返しをしてきた。相変わらずのへの字口で冗談を吐かれるとは思わなかった。思わずイラッとしたのは秘密。



「そんな低俗なものもってませんよ」


まだ人がまばらだとはいえ教室で朝から不健全な話をしている2人に苦笑いをこぼしながら1時間目の授業はなんだったかなぁと考えているクダリを他所に話は続く。


「えーでも健全なお年頃な思春期な男子高校生なのにエロ本に興味ないって逆にヤバくない?」


「別に性欲が無いワケではございません」



「どういうことよ」



「インターネットというたいへん便利なモノがございますので」


「そういうことかよ!!」



しれっといい放ったがその発言はちょっとかっこよくないぞ。



「大体人間に性欲がなくてはとっくに絶滅ですよ。あって当然なのです」


「お!いいこと言うね。そうだよ、興味があって当然なんだ!!」


珍しくノボリがいいこと言ったのでガッツポーズで立ち上がる。


「ナマエ様は性欲がえげつないですね」


「言い方ひどくない?」



クダリと違って可愛さのかけらもない笑顔できっぱりと言い放つノボリ。



「2人とも、そろそろ授業始まるよ」


黙ってやりとりを見てたクダリに言われ現在時刻に気づく。教室内でも各々の席につく人が増えている。
私は自分の席だからいいけどノボリは自分のクラスに戻る必要があるからそろそろ時間だ。


「ん?そういえばノボリ何しにきてたの?」


エロ談義(笑)に花を咲かせていた為にノボリがここにきた目的を知らないままだった。


「ああ、そうでした。実は昨日生徒会室にこのような忘れ物がございまして」


そう言ってノボリが内ポケットから取り出したのはブックカバーのついた小説


まさかと思い恐る恐る受け取り中を見る。



「トウヤ様もトウコ様もご存知なかったのでもしかしたらと思いまして」



はい、ビンゴー!!


「官能小説を読むのはけっこうですが学校に忘れるのはどうかと思いますよ」



声にならない悲鳴をあげてノボリの鳩尾に容赦なく拳を抉りこむ。うっ、と鈍い声をあげてよろめいたスキに教室から飛び出す。クダリの呼び止める声が聞こえたがそれどころじゃない。



確かに読んでるとは言ったけれど実物を見られるなんて羞恥に堪えられない。しかもトウヤとトウコにもバレたなんて。








「ヌオー、海でも行こっか」


はしゃぐヌオーを撫でながら今日はもうサボろう、と決意した。












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まゆさまリクエストで日付シリーズ番外編。5月16日、性交禁忌の日でわちゃわちゃ。


リクエストにきちんと応えられたか不安ではありますがやる気は込めました。
お気に召しませんでしたら書き直し等容赦なく言って下さいまし!


改めてリクエストありがとうございました!




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