短編 | ナノ
鶴見さんと一度関係を持ってしまって気まずいから避けてたけどめっちゃ絡まれる

「[LN:苗字]さん、すまないが今手は空いてるかな?」
「…あ、はい。」
「急ですまないが、今日12時からの●●社との決済に一緒に立ち会ってくれないか。」
「え…と、」
「今日は急遽依頼された他社ミーティングに月島を私の代わりに行かせている。他の営業マンも別件で出払っているから、他にいなくてな。色々引き継ぎがあるので普通の事務の子に任せる訳にも行かんのだ。」
「はあ…」
「…ここだけの話だが…この土地の決済には10年以上かかっているんだ。何しろ東京●物だの三●だのが絡んできてこんがらがってなあ…。一度はオーナーも三●にと約束をして、暗礁に乗り上げたんだが…諦められなくてねえ。私が若手の頃から、毎日毎日毎日毎日…事あるごとにオーナーに挨拶をしてねえ、漸くここまできたのだ。」
「………(執念だ…)」
「来てくれるととても助かるんだがなあ…」
「わかりました、すぐに準備します。タクシーを手配しますので、行き先はどちらの銀行ですか?」
「いや、私の車で行こう。銀行の地下に駐車場があるのでな。」
「…分かりました。」

努めてそう言ってそれまでやや伏し目がちだった視線を上げる。目の前の上司はパチンとウィンクを一つして、今一度、「助かるよ」と一言宣うと、ポンと優しく肩に手を置いた。彼がスタスタと廊下をまっすぐ進んで見えなくなるのを確認すると、思わず、はあ…、と深いため息を落とした。

お願いをする時の彼の声色と言うのは、まるで濃厚なチョコレートの様に甘く、ねっとりと舌に纏わり付いて離れぬどろっどろの蜂蜜の様だ。そして、お願いをされているのにぎっちり外堀を埋められ捲し立てられるので、まるで抗いようがない。選択肢を与えているようで、最初から答えは一つしか許されていないのだ。

未だ仄かに漂う彼の残り香を鼻腔に感じながら、頭の裏でつい先日の艶めかしく湿っぽいあの薄暗がりの中の情事の光景が思い浮かんで来てしまって、反射的に人目も憚らずブンブンと頭を数度振ってしまった。思い出すな思い出すなと心の中で幾度となく念じて自分を何とか奮い立たせると、ややゴムが削れてしまったヒールを鳴らし、慌てて自分のオフィスへと向かって走った。

ーーー

「私が持とう。」
「いいえ、重いですから。」
「だから私が持つんだよ。」

そう言って傍の上司は私から半ば剥ぎ取る様にその大きな紙袋を引っ手繰ると、宣言通り自分がそれを持って歩き出した。土地の新所有者へと当てられた数多の資料が入った紙袋は尋常じゃなく重たかったのだが、彼は思いの外ひょいと片手で持って普通に歩いていた。

確かに、スーツに身を包んだ姿では余り伺い知ることはできないが、彼の体つきはその年代の男性の割に、非常に素晴らしい肉体をしていたし、持久力もなかなかだった…。と、そこまで考えて再び別のことを考えようと必死に視線を目の前の上司の背中から逸らし、銀行内にあるNISAや定期預金のポスターを意味もなく注視してみた。

だが暫くするとやはり視線は自然と彼の方を見てしまう。スッと背筋の伸びた背中は広くて、思わず抱きつきたくなる衝動に駆られる。あの日の、あの夜にしがみ付いて腕を回したこの背中はとてもがっちりとしていた。私の肌とは違う彼の肌質とその硬さと暖かさにとても安心して、まるでおとぎ話のように思った。

嵐の海中で溺れかけていた人魚が、美しい人間の男に抱きしめられ、その命を救われた時の感覚のようだとあの夜はっきりと、そう感じた。瞼や額や唇に落とされるあの柔らかい暖かさに嬉しくて、切なくて、何度も泣きそうになった。「鶴見さん、」と呼べば、暗闇でもわかるほどにこちらを見つめて優しく撫でる大きな手の温度も、乳房に触れる優しい手つきも、全部、本当は覚えている。でも、忘れなくてはならない。忘れなくては。

ふと腕時計を見やれば時刻は15時になろうと言う頃合いで、いつもながら、何でこうも決済というのは時間がかかるのだろうと思わず心の内で独り言ちた。時間を意識すると途端に空腹である事を思い出してしまうものだ。そう言えば自分は今の今まで、急な上司の依頼で昼ご飯を食べ損ねていたではないか(それは上司も同じ事なのだが)。

「鶴見部長、」
「何だ」
「あの、宜しければ私、お昼をとって戻りますので…」
「ああ、そうだろうと思ったよ。良かったら急に面倒ごとを引き受けてくれた礼にご馳走させてくれないか。」
「あ、いえ、でも…」
「近くに上手い寿司屋があってな。この時間帯だと何処もランチタイムはやっていないが、そこは知り合いがやっているから仕込み中でも開けてくれるはずだ。さあ、乗ってくれ。」
「…はい。」

是非とも私は知りたい。目の前のこの見目麗しい紳士が、駐車場に止められた塵一つ見当たらない黒のベンツの助手席を開けてくれた場合、それを断ってまで一人でそのままそそくさと昼に出られる愚かな人間がこの世に本当に存在するのだろうか、と…。そんな人がこの世に存在するならば、ぜひお会いしてお話を聞いてみたいものだ。

ぼんやりとそう思いながら助手席まで誘って下さった“優しい”上司に「ありがとうございます、」と一言力なくそう言って車に乗り込んだ。そんな私を尻目に彼はにこにこと笑顔を貼り付けたまま勢いよく助手席を閉めると、間も無く何事も無かったかのように運転席へと腰を下ろした。運転専用の眼鏡を付けると、滞りなく、流れるように駐車場から脱出し、大通りへと華麗に車を走らせた。このような彼を助手席から眺めるのは、これが初めてでは無い。あの日もまた、同じような光景を私は見ていた。

この時期だと15時はすでに日が傾いていて、西日が車内に入り込んで冷えた頬を優しく照らしてくれた。眩しさに目を細めて横目で鶴見さんを盗み見れば、じっとまっすぐ前方を向く彼が見えた。運転中鶴見さんは眼鏡をかける事が多いようだ。眼鏡をかけても似合うし、どっからどう見てもこの人は格好が付くのだなと心の内で密かに感嘆し、再び視線を窓の外に写した。

「(…鶴見さん、全然触れてこないけれど、気にして無いって事なのかなあ…。私なんて、そんなものだよね…)」

正直、私はこの傍の上司と関係を持ったあの日から、意識的にも無意識的にも、この男性を避けていたと思う。だがあまりに不自然に避けていても余計な噂をたてられるのはごめんだったので、すれ違えば挨拶はしたが、別段それ以上の会話はしなかった(それは彼と関係を持つ前もそうであったけれど)。頼まれごとをされないように見つけたらばれぬように逃げたり、視線が合えばすぐにそらした。

子供染みた行動で非常に恥ずかしいのだが、それは別に彼を憎んでいたからでも恨んでいたからでも無い。ただひたすら、自分が愚かに思えて合わせる顔がないと思っていた。自分は付き合ってもいない男性と関係を持つほどの軽い女性だと思われているのでは無いかと、上司としても尊敬し、そして異性としても密かに憧れていた目の前の人物に失望されるのが、この上なく恐ろしかった。

でもよくよく考えてみれば、上司と関係を持つのは、この広い世の中ではそう珍しい事では無いのかもしれない。こんな話はドラマや漫画や小説でいくらでも描かれている、陳腐な話なのかもしれない。会社という組織の中では上司と部下という関係性が確立していて、その中で行動しているけれど、そもそもそれは会社内だけの話であって、会社の一歩外に出れば実質、赤の他人で、そしてただの男と女になる。

ほんの十分前、先ほど決済をしている間は間違いなく私と鶴見さんは上司と部下であった。だけど今、この密室の車内での私と鶴見さんは一体どういう関係だと言えるのだろうか。考えれば考えるほど何だか頭の中がこんがらがってきて、目の奥が暑くなってきて、思わず彼と二人きりだというのに泣きそうになってきた。気づかれぬようにふう、と息を吐くと、顔を見られないよう、静かに窓を開けて視線を外に向けた。

もはや自分がラテン系の人のように楽観的で、アメリカ人のように恋愛をもっと簡単に、後腐れのないように考えられる人種であれば良かったのにとさえ思えてきた。フレンチキスだの何だのを人前で決めるフランス人のように大胆で恋愛に関しては「どんと来い、ウェルカム!」みたいな性格であれば、こんなにこんがらがる必要など無かったのではないか。

「(そもそもフレンチキスみたいな、あんな大胆なキスを人前で出来るって凄すぎないかフランス人。え?パリってそんな感じなの?いや…行ったことないから分からんけど。でもどうせワンナイトしても悩むことなくどっちも後腐れなくバイバイ出来るくらいの感じなんでしょ。“愛の街”だの“愛の壁”だの言ってるけどさ…いいよなあお気楽で…)」

だんだん考えれば考えるほど、自分がバカなんだか、真面目なんだか分からなくなってきた。なんだか惨めな気がして、考察すればするほど答えから遠ざかり、混乱し、的外れなことを考えてきているように思えてきた。

「(あの時…鶴見さんのお言葉に甘えず、いつも通りあの飲み会でタクシーを拾って帰っていれば、私は前みたいに鶴見さんとおしゃべり出来てたのかな…)」

暫く外の様子を何となしに眺めていたが、ふと視線を感じて思わずバックミラーの方を直感的に見やれば、そこには此方を覗く真っ黒の双眼が見えて、肩をびくりと震わせると、慌てて再び視線を外に送った。

「…少し、停めてもいいか?」
「え、ええ。大丈夫です。」

突然それまで大人しく運転していた鶴見部長がそう言って大通りから一本入った路地に車を停めたので何事かと思い彼の方を向いた。そうすればいつものように綺麗な横顔をした我が上司が横目で私を捉えるのを見た。車内は彼の香りに満ちていて、黒の革張りの装飾はまるで高級なソファを想像させた。あの夜鶴見さんと過ごしたあの高級ホテルもこのような黒を基調としたシックな造りだったなと頭の裏でぼんやり思ってじっと彼の言葉を待った。

まるで判決を待つ被告人のような心持ちで居心地が悪くて、重い空気に今にも視線をそらしたい衝動に駈られたが、目の前の双眼がそれを許さない。彼は暫し私をじっと見つめていたのち、ふ、と口角を上げると漸く口を開いてくれた。

「最近目を合わせてくれないから君の目を見れて安心したよ。」
「そう、ですか…」
「ここ数日間、君について考えあぐねいてね。」
「………」
「君は私を避けているようだから。」
「それは…」
「嫌われてしまったなあと、年甲斐もなく少々傷ついたよ。」
「そ、それは私も同じです!」
「ほう?」
「避けてたのは…あんなことがあって、何というか、まだ整理が追いついてなかっただけです。嫌われているの私の方だと思っています…あなたはきっと私を失望しただろうなって…」
「はあ…何故君はそんな頓珍漢なことを考えたんだ?」
「と、頓珍漢って…」

思わず彼の方を見れば、鶴見さんは心底困ったようにふるふると頭を振って米神を抑えていた(これは彼が困った時や呆れた時に見せる行動の一つだ)。

「一応聞くが、私が君を嫌う要素が一体どこにあったというんだ?」
「だって…酔っ払ってるのにのこのこ男性に付いて行って、ワンナイト決めちゃうなんて…、きっと軽い女性だと思うでしょう?」
「いいや。そうは思わない。その、“のこのこ付いて行く”ように仕向けた男性の方に非があるとは思わないんだな、君は。」
「…それは、」
「俺は酒をあの時一滴も飲んでいなかったんだ、素面だったんだよ。片や君はきちんと自宅を認識するくらいにははっきりと意識があったとはいえ、飲酒をしていた。そんな状態の、況してや年下の女性を私は言葉巧みに誘ったんだ。おまけに私は直属の上司だ。もしかすると君は本心では断りたかったのに、上司だからと気を遣って断らなかったかもしれない。もし法廷で争われたら間違いなく、私は勝てないだろう。」
「はあ…、」
「さあ、悪いのはどっちだ?」
「ええっと、鶴見…さん?」
「そうだ。十分に、嫌われる要素だろう?」
「でも…でも、鶴見さんは悪くありません!私あの時、レモンサワー2杯くらいしか飲んでないし、自分の意思で鶴見さんの車に乗って、自分の意思で鶴見さんに付いて行ったんです…!鶴見さんあの時きちんと私に向き合って意思確認してくださったし、きちんと私が望んでいるか、聞いてくれたので、私は自分の意思で鶴見さんに抱かれました!だから、」
「ふふ、君は随分大胆な表現をするんだね。」
「あ」

大声を出して思わず口元を抑える。車内とはいえ、自分で開けておいた僅かな助手席の窓の隙間から漏れ出てしまったのではないかと必死に辺りを見回した。そうすれば横からくすくすと笑う低い声が聞こえてきて、バッと運転席の方を見た。

「つまり、俺はまだ嫌われていないと言う事でいいな?」
「ええっと…端的に言えば。」
「そうか。それはとても良かった。」

彼はそう言って、羞恥やら何やらで感情の波に揉みくちゃにされて訳が分からず今にも泣き出しそうな私の頬をするりと撫でると目を細めた。

「ああでもせんと、君はなかなか気づいてくれないと思ってね。この歳にもなって君のような若い女性に手段を選ばない方法は少々気が引けたが…」
「それって、鶴見さんは、ちゃんと私を選んで下さったってことですか?」
「…誰でも良かったように見えたのか?」
「め、滅相もございません。」

口元は上がっているのに目が笑っていないので思わず即答すれば、鶴見さんはよしよしと私を撫でて下さった。何とか命拾いはしたようだ。正直、鶴見さんが欲する女性と言えばとんでもなく美しい女優さんや出自の良い両家のご令嬢並みのクオリティの女性でないと、彼はきっと満足しないのだろうと疑問なく思っていた。

だから、あの夜はたまたま私が目の前にいたからだと思っていた。自分を卑下したくはないが、これほどまでに完璧な紳士を、私は今まで生きてきた中で見たことがなかったので、素直にそう思ってしまっていた。どうして私なのか、一向に答えが出ず、ただの交通事故のようなものだったと思うことで何とか自分を納得させようとしていたのかもしれない。

「君は少々自分を卑下し過ぎるきらいがあるな。」
「…あまり自分に自信がないのです、鶴見さんくらい完璧ならいいのに。」
「酔っ払ったのをいいことに気になった女性を持ち帰る男は完璧ではないさ。」
「それは…」
「間違ってはないだろう。だが、逆を言えば、“そこまでして”君を手に入れたかった。“形振り構う余裕などなかった”、と言う意味にもなるだろう?」
「え」
「…君の実直さや素直さはとても気に入っている部分の一つだが、もう少し、物事や言葉の裏を考えて、前向きでいてくれると嬉しいな。」

笑顔で毒を刺されているようだったが、展開の速さに脳の処理が追いつかず、否定も肯定できずひたすら、彼の顔を見つめて首を捻っていた。彼もまた私と同じ方向に首を捻ったので思わず首を戻せば、今度はゆっくりと深呼吸をするように鶴見さんに指示されたので、言われた通りに深呼吸を何度か繰り返した。呼吸を繰り返すと不思議と確かに落ち着きを取り戻し始めた。酸素が漸く血液全体に行き渡り、脳にも送り込まれてだんだんと機能が回復していくような気がした。

「…私、信じられなくて全部を後ろ向きに考えていました。」
「そのようだな。もし私が何も言わなかったらこのまま君は無かったことにしようとしていたらしいからね。」
「このまま忘れた方が楽だと思ったんです。真実を知って、傷つくくらいなら…。」
「…様子見とはいえ、私も数日間君を放置してしまったのは悪く思っているよ。謝ろう。」
「いいえ、私、もっと心を強くします、言葉の裏ももっともっと考えるようにしますから…!」
「ふふ、あれは冗談だよ、気にしないでくれ。そのままでいい。そのままの君が好きだよ。」
「…鶴見さんは大人ですね。」
「もういい歳だからな。」
「………」

子供じみている卑しい私は、あまりにも言葉に頼ろうとしていたのだろう。こんな歳にもなって、ましてや相手が人生経験が豊富な紳士であるならば尚更。わざわざ「付き合ってくださいっ!」などと、その辺の学生のように青臭いことを宣ってから女性を抱くものか。答えは否。鶴見さんは知的で素敵な紳士だ。だからこそ、明け透けで荒削りで野暮な言葉ではなく、“大人としての言葉”と、そして行動で十分に示したのではないか。

私のために全てを考えて、”あの夜”を作って、私をお姫様のように、それこそ本当に大事に、宝物のように抱きしめてくれたのではないか。本当に、なんて自分は愚かだったのだろう。答えは全部、もうあの夜に全て揃えてくれていたのに。私はその気持ちを受け取るに値する人間ではないのではないか。

「鶴見さん、ごめんさい…私…」
「謝るのは私だ、すまなかった。君がそれほど繊細な女性だと知らなかった私が悪いんだ。」
「違います…でも、私やっぱり、信じられなくて…。こんなんじゃ、ダメですよね。私は、鶴見さんに釣り合う女性ではない…」
「………」
「本当にごめんなさい…私がフランス人みたいにもっともっと、恋愛の経験があって、もっと恋愛に楽観的であれば良かったのに…。ワンナイトラブでももっと気軽に考えられる人間であれば…」
「…一体なぜフランス人が出てきたかは分からないが、君はどうやらその点に関しても誤解しているようだ。」
「え?」
「フランス人男性の名誉のためにも言うが、彼らは一夜抱いた女性をその夜から本気で愛し、女性が異邦人だったならば、国を離れて迎えにいくくらいには情熱的な部分があるよ。…まあ、人によるだろうから、追いかけることを諦める男も勿論いるだろうけれどね。」
「へ…へえ…」
「まあ、それは何人であろうと同じ事だろう。」
「はあ…」

私が呆けたようにその話を聞いていれば彼は視線をこちらに向けた。そして運転用のメガネを外すと、再び私の頬をするりと撫でて、それからその手を私の顎に添えると、くい、とやや上に向かせた。驚いて目を見開く私を余所に、彼はニッコリと先ほどのように一瞬笑顔を見せたかと思えば、次の瞬間、じっと双眼で私を見つめた。真っ黒な二つの双眼に、自分のやや怯えたような瞳が写っていて、先程からのドキドキが別の意味のドキドキに摩り替わっていくのが、引いていく頬の血の気と共に分かってしまった。

「ところで[FN:名前]、」
「は、い…」
「私は前者と後者、どちらのタイプの男だと思う?」

自分の感情に押しつぶされて、私はすっかり大事なことを忘れていた。

彼は、“素敵な紳士”であると同時に、目的の為ならば手段を選ばない、“執念深い男”だったではないか。


2020.1.5.
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