短編 | ナノ
鶴見さんとまったり年越しするお話

「ビールはいいのか?」
「あー…、大丈夫、です…。」
「本当にいいのか?きっと後になったら売り切れているぞ。今日は大晦日だからな」
「はい…ダイエットするって、決めたから…」

ヒンッと表情を浮かべつつ鶴見さんが手に取ってくださったビールを棚に戻すと、名残惜しく思いつつもビールゾーンを後にする。鶴見さんはふふと笑うとカートを押しながらそのままついて来てくださった。本日の大晦日に備えて買い出しに来たのだが、案の定スーパーはとても混んでいて、ビールや飲み物類はあと数時間で全部なくなってしまうような勢いだ。御節とお雑煮の準備も、今夜のお蕎麦の準備も全て終わっているし、あとは飲み物だけ買っておこうと言うことになったので階下のスーパーに足を運んだのだ。昨年の大晦日はお付き合いをして間もなかったせいか、少しお互い気を遣ってホテルでニューイヤーの花火を見ながら大晦日を過ごし、新年を迎えた。ディナーは美味しかったし、ホテルなので眺望は勿論、身の回りも清潔で美しく心地よく2人で過ごせたし、一緒に入られただけでとても嬉しかったが、やはりお互い気疲れしてしまったので、今年はお家でまったり過ごそうねと決めていたのだ。大掃除も一緒にしたし高級ホテルには劣るが(と言っても鶴見さん宅はまるでモデルルームのように生活感がなく大変美しいインテリアでまとまっていてただでさえゲストルームのようだ)のんびり過ごすことができる。

「あ、アイス買いたいです」
「ダイエットをするんじゃなかったのか?」
「あ、アイスはいいんですう、ビール飲まないし。」
「ふふ、じゃあ私も一ついただこうかな。」
「ハーゲンダッツのストロベリーがいいです!」
「私はレディーボーデンの抹茶にしようかな。一緒に分けて食べよう」
「やった!」

ホイホイとアイスを手に取るとカゴに入れていく。烏龍茶やオレンジジュースなどを詰めてレジへと向かった。鶴見さんがお会計をしてくださっている間に荷物をエコバックに詰めていれば、先ほどいれたはずのパイの実2つが1つに減っていて首を傾げていれば、いつの間にやら横に来てくださっていた鶴見さんがニッコリと私に微笑みながらエコバッグを持ってくださるとパチンとウィンクをして口を開かれた。

「私もダイエットの力になりたくてね。」
「あ、ありがとうございます」








「鶴見さん」



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