ありふれた幸福を願う

あなたがいなくなったって困りはしない。
一人で生きてきたんだから平気。

爪をがじがじ噛みながら、携帯を見る。
午前2時9分。新着メールは無し。
もうこんな時間だ。返事なんて来ないだろう。他愛のないメール。返信を急いでいるわけではないのだから、いつ返信してくれてもいいのだ。ただ、すぐにメールを返してくれるところに、誠実さや私への愛を感じたい年頃だから、返事は早ければ早い程良い。
ただ、メールの催促はできない。重い女と思われたくないから。
今日もベッドの中であなたの返事を待つ。

携帯の通知音が鳴って、急いで携帯を開く。
ただのニュースの速報だった。
あなたからのメールじゃないことに落胆する。こんなにも落胆している自分に苛々する。
誰かを好きになっている私はいつもの私でない気がして嫌になる。好きな人を最優先にしてしまって、ほかの誰かを無下にする。本当は博愛主義者でいたいのに。

誰も好きになりたくない。
これが最後の恋でありますように。


title by レイラ

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テーマ「人外ファンタジー」
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