コウテイロン

「あのさ、」
「うん」
「なんか、恥ずかしいなーって思うの」
「何が?」
「誰か一人に肯定されただけで、世界から認められたような気持ちになっていた自分が、さ」
「難しいこと、言い出したね」
友達は笑った。
「だってね、私は、ほら、自分って嫌だなー。こんな私のことなんて誰も受け入れてくれないんだろうなーって思って生きてきた訳じゃない?」
「そうなの?」
「うん、そうなの。だから、誰にも受け入れてもらえないって諦めていてさ。あー、でも、どこかで期待していたのかも。誰かが、例えば明日出会う人が、私のことを受け入れてくれるんじゃないかって。あー、汚いな、
「汚くないよ」
「えー汚いよー。周りにフォローしてもらうための自虐なんて。まあ、良くないけど、いいや。それで、誰にも受け入れてなんてもらえないと思っていた私が、あろうことか受け入れられるわけですよ」
「うん、なんで敬語?」
「気にしない、気にしない。そしたらさ、有頂天になるしかないじゃない。そんな私が勘違いしちゃったわけですよ、私って認めてもらえる人間なんだーって。もう、喜劇を通り越して悲劇でしかない」
「そうかなー」
「そうして冒頭に戻る」
「あんた、やっぱり変だわ」








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