夢よ、夢よ、夢たちよ

 恋人がいる友達が彼氏の自慢話をしてくる。彼氏がどんなに優しいか、彼氏と何処に行ったか、私は彼女の話を聞きすぎて、彼女と同じくらい彼女の彼氏について話が出来るだろう。
「あのね、この前、彼氏がね、」
 彼女はとても幸せなんだろうと思わずにはいられない。一人きりで休日を過ごす私とは全く違う世界の人間だ。
「ゆっこちゃんは好きな人いないの?」
 無邪気に尋ねてくる彼女。好きな人?そんなものいるはずないだろう。思わず口から溢れ出しそうになった言葉を口の中に留める。
「好きな人?うーん、今はバイトが忙しいからそんな暇ないかな」
 ひきつる口もとを無理矢理伸ばして笑顔をつくる。
「そっかーそれなら仕方ないよね。でもね彼氏がいるとね、とても幸せな気持ちになれるんだよ」
「彼氏っていいね」
「うん!!」

私と違ってひねくれていない彼女を見ると、自分がとても矮小な人間に見えてくる。

夢よ、夢よ、夢たちよ、私に夢を与えたまえ


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