君は何も知らない

一番目にも二番目にすらなれなかった女に何の価値がありましょうか。三番目、三番目に甘んじてきた私の苦しみを誰も知ることはないでしょう。でも苦しくて苦しくてならないのです。私を三番目に位置付けたあの人を恨むことすら出来ないのです。滑稽でしょう。愚かしいでしょう。でも愛しいという気持ちを捨てきれないのです。愛しいと思うから苦しくなるのはわかっているのに、この気持ちを捨てられない。誰かこの器を切り捨ててください。さすればこの思いは私という殻を捨て、あの人のもとへと参りましょう。私を傍に置いてくださらなかったあの人、せめて私の思いをお側に置いてくださいまし。彼の世へのお供に私の思いを持っていってくださいませ。
ああ、愛しい吾が君、この身を捨てましょう。貴方に好いてもらえなかったこの身、今命朽ちようとも心残りなどなにもありませぬ。さあさあ、お連れくださいませ。

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