面の皮剥がし

面白くなかった。周りからちやほやされるあいつを見るのが嫌で嫌で仕方が無かった。でも、所詮私はクラスの嫌われ者。あいつはクラスの人気者。皆がどちらの味方をするかなんて、日を見るよりも明らかだ。周囲に笑みを振りまくあいつを横目に帰り支度をする。
「あれ?藤子(トウコ)帰るんだ?しかも一人ぼっちで」
「仕方ないじゃん、あいつ嫌われ者なんだから」
 周りからくすくす笑われながら、私は講義室を出る。あいつも周りと同じようにくすくすと笑っているんだろう。本当に腹立たしい。私はさっさと講義等を出て、図書館へ向かった。もうすぐ小テストがあるので、勉強をしなければならない。小テストと言っても、講義の評価に非常に響く小テストであるので、気を抜くことは出来ない。私はもくもくと勉強をし、気が付いたら8時を過ぎていたので図書館を出て家路に着いた。
 図書館を出てすぐにあいつ―桜子―に出会った。
「ねえ、図書館で勉強していたの?」
 あいつは、周りにいつも振りまいている笑顔を私に向けてきた。
「やめてくれないか」
「何が?」
 その笑顔を見ていると本当に虫唾が走る。なんてことは直接言う気もしないので、あいつを避けて歩き出した。
「どうして、無視するの?」
 あいつは私の後をついてくる。お前の家は私の家と真逆だろう、ついてくるな。
「ねえ、最近寂しいな」
五月蝿い。
「前はいつも一緒だったのにね」
 昔語りをお前などとしている暇などないんだよ。
「藤子ちゃん、私のこと嫌いになっちゃった?」
 お前のことなど前から嫌いだったさ。
「前みたいに仲良くしようよ」
 断る。
 桜子の話を無視しているうちに家についてしまった。徒歩でいける大学を選んだのは誤算だったな。私が玄関のドアを開こうとすると、「また明日ね」という桜子のおぞましい声が聞こえた。明日もお前に付き合わなければならないのか?お前は取り巻きの連中と仲良くしていればいいじゃないか。私につきまとうな。五月蝿い。目障りだ。…でも、直接言えないのはどうしてなんだろう。
面の皮をはがされるのは、私かあいつか。
title by 剥製は××する
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