■自己防衛の仕方
小さかった娘は、大きい娘になった。物理的に大きくなったのだ。成長と喜べばいいのだろうが、成長したというには、娘は幼すぎるのだ。
朝起きて「ごはんは?」とにこにこと笑って言う。もういい歳なのだから、自分で作ればいいのに、そう思うけど今日もまた作ってしまう。
作ってしまったことに対して後悔していると、娘はにこにこと笑って「ごちそうさまー」と言ってアルバイトに行った。
娘を見送り、私も仕事へ行く。仕事をしていると家庭内のもやもやとしたことを忘れられると同僚は言うけれど、私は娘のことを忘れられなかった。娘の気の抜けた笑顔が頭によぎる。
娘は悪くない。悪くないのにどうしてこんなに娘のこととなると、娘を悪く思ってしまう。そして、心配で心配で堪らない
大人になりきれない娘。
「ただいまー」
家に帰れば娘が私と私の作る晩御飯を待っている。
娘はにこにこと笑って「美味しい。美味しい」と言って食べてくれる。不幸せではない。ただ何か足りないと言うのは言い訳か。
能天気で、ぼーっとしていて、まだまだ目が放せない娘を私は憎まずにはいられない。もういい年なんだから、自分のことは自分でしてほしい。私に頼りっきりな生活から変わってほしい。
それでも、幼すぎる娘が、明るく元気に生きていってくれることを祈る。
title by 狼傷年
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