寒さが背中を通り抜ける

昼間はだいぶ暖かくなってきたなと家路の途中。
歩いている背中を風が通り過ぎる。

仕事帰りのこの道は疲労感と充足感で溢れている。
朝は仕事なんて行きたくないなと思うけれど、一度行って仕舞えばなんてことはない。ただやらなきゃいけないことをひたすらやるのみ。まあ、それが大変なんだけれども。

大して偉くなったわけではないけれど、後輩が入ってくると、もっとわたし自身が仕事ができる人間でいなければならないのではないかとプレッシャーに負けそうになる。
プレッシャーばかりが押しかかってきて、肝心の実力がついてこない。気持ちばかりが焦る。特に後輩が実力のある子ばかりだから、上司からの圧力も半端なものではない。

仕事がだめなら私生活ぐらいは充実させたいと思うものの、私生活ですら満足できるものではない。彼氏だっていないし、休みの日に会う友人も数少ない。尤も、休みの日は疲れを取るために一日中寝ている時の方が多いくらいだ。誰かと会う気力なんてない。

ああ、だめだだめだと自分を責めたくなるけれど、誰も認めてくれない存在ならば、自分だけでも認めてあげたい気持ちにもなる。仕事や私生活が充実すれば誰か認めてくれるかもしれないが。

まだ年度が始まったばかり、もう少し踏ん張ってみようと、背筋を伸ばして歩いてみた。

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