花宮♀
「久しぶりだな……花宮」
「ええ、久しぶり。木吉」
WCで木吉に会った。
相変わらずその性格で仲間に囲まれている。
けど今日は何処か、笑顔じゃなかった。
「あれ、表情が硬いわよ?これから試合だし、緊張でもしているの?」
「ああ。するさ。けど仲間と一緒に、楽しんで勝つだけさ」
「それはまた。結構な自信だことで」
「花宮は、まだ“あんなこと”を続けているのか?」
「“あんなこと”?――ああ。ラフプレーのことね。
まあ、あれをやって勝ってこその私達だから」
「お前は折角男子と混ざってプレイが出来るのに、何でラフプレーなんかするんだ?」
嫌だな木吉。決まってるじゃない。
だって私は、元からこういう人間でしょう?
そんなことを今更聞くなんて。
「私は貴方達とは違う種類の人間なの。別にバスケが嫌いな訳じゃない。けど違うのよ。
生まれながらの、性格ってやつ?」
「ッ、嘘だ。そんなの…!」
そう言って私の手を掴む木吉。
止めてよ。そういうの。
昔から、言ってるじゃない。
“違う”って。
「どうして嘘だと分かるの?私じゃない他人の貴方に、私の何が分かるの?」
冷たく言い放って。振り払おうとする。
だって、私と貴方は価値観が違うの。思いも。何もかも。
貴方は誠実。私は不誠実。
貴方は真面目。私は不真面目。
ね?違うでしょ?
こんな私、放っておいてよ。
だんだん木吉の力が緩んでいく。無理やり離してもよかったけど、ワザと、私は貴方に言う。
二度と、私みたいな人間に触れないように。
「だからね、木吉」
お願い、この手を放して(そして二度と、近づかないで)――――――――――
お題:『原生地』様より
悪者と正義者は相容れない。
だから木吉と離れようとする、夢主。
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