日向♀
「あ、黒子」
「…主将」
図書室に本を返しに行ったら、部活の後輩がいた。
そういえば図書委員、だっけ。
「返却お願い」
「はい。……これって」
「ん?ああ、英語の本。偶に外国語を読むのもいいね」
「読めるんですか?」
「まあそれなりには。分かんなかったら調べればいいし」
今はネットとかでも翻訳出来る。
便利な時代だ。
「黒子はいつもここに座ってるの?」
「当番制なのでいつもではないですが…。休み時間はよく来ますね。静かで落ち着きますし、本が読めるので」
「…でも、ここに座ってても見つけてくれないことの方が多い?」
「……そうですね」
それはかわいそうに。とは、思わない。
だってそれが黒子の特技で、才能で。
自慢出来ることだから。
「バスケで影になってると、もう癖なの?ミスディレクションって」
「そういう訳ではないんですが。元から、でしょうね」
「ああ、そうなんだ」
そこでふと、思ったことを口に出した。
「黒子って、面白いね」
「え?」
「だって、せっかくの特技を持ってるのにそれを自慢しないとか。ロマンチストだと思えば結構頑固だったりとか。
髪の毛の色もさ。他のキセキは苗字と同じ色なのに、黒子だけ違う」
「それって、面白いに入るんですか?」
「さあ。不思議な面白さ、かなぁ」
純日本人から見たら目立つ髪色。
なのに影が薄くて。そして、影として働く。
矛盾しているのに、何故かピッタリだ。
「不思議面白い、黒子」
「止めて下さいよ」
「あはは」
黒より黒い黒(それは不思議で面白い、影)――――――――――
お題:『Discolo』様より
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