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「「「「いただきます」」」」
皆で揃ってご飯を食べる。
今日は食パンに目玉焼き、ミネストローネ。
朝から随分と豪華ですよね。
「キド、今日の予定は何ですか?」
「買い出しに行かなくちゃいけないな。あと、そろそろお金が無くなってきたから稼がないと…」
「セトも頑張って働いてますけどねぇ」
流石に育ち盛りの子供を養うのは無理があります。
今日だって、もうすでにバイトに行っていますし。
「私だって、働いてるもん…」
「あ、失礼しました。ごめんなさいマリー。
マリーもちゃんと得意な内職、頑張ってくれてますもんね」
「じゃあ、やっぱり今月もやる?」
「そうなるな。さて、今回はどこに入るか」
キドとカノが話しているのは、“どこの企業に入り込んでお金を調達するか”というもの。
傍から見たら犯罪計画を立てているテロリストですけど。
私達に、そんなことを気にする程の優しさは無いです。
だってその気になれば逃げることなんて動作もないし。
「では私が行きますよ。丁度手も空いていますし」
「いいのか?まあ、お前の能力は一番効率がいいが…」
「構いませんよ。キドは買い出しに行ってください。マリーは内職。カノはアジトにて待機、でいいですか?」
「オッケー」
「うんっ」
「それでは、すぐに出かけますね。ご馳走様でした。
キド、カノ。能力借りますよ」
食器を片付け、適当なパーカーを羽織る。
一応顔がバレないように、帽子を深く被ることも忘れずに。
「ほいよー」
「気をつけてな」
「…ユキ」
「はい?何ですか?」
出かける準備をしていたら、マリーに声を掛けられる。
何だろうと思ったら、にこり、と微笑んで、
「……行ってらっしゃい」
そんな可愛いこと言ってくれました。
「はい!行ってきます!!」
元気に挨拶をして、アジトから私は飛び出した。
―――――――
「さて、と」
見上げるのは、巨大なビル。たぶん、軽く20階はあるでしょうね。
ここでちょっとしたお金と、生活用品を調達します。
用心深く、周りを見渡して、近くに誰もいないことを確認する。
ゆっくりと深呼吸をして、目を閉じる。
「さあ、目を【付けて】いきましょうか!」
深く被った帽子。
前髪に隠れた中で。
私が再び瞼を上げると。
目が赤く赤く、
燃え上がります。
その瞬間、きっと周りの視界から私は消えた。
いろんな能力―チカラ―を付け替えて、
今日も私は生きて行く。
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