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「ふあ、おはよう、キド」
「おはよう。ユキ」
どうもおはよう御座います。ユキという者です。
ワケがあって、もう5年くらいここ、メカクシ団に居させてもらってます。
私が声を掛けたのは団長のキド。クールでカッコイイ方です。
「すまない。あいつら起こしてきてくれ。朝ご飯にするから」
「は〜い」
“あいつら”とは、一緒に住んでいる団員のこと。
まずは、男性の方からですね。
部屋に入れば、まだ夢の中のご様子。
さて、ここは一気に…。
「カノ!朝です起きてください!」
ガバッと勢い良く布団を剥ぎ取る。
「え?ユキ?」
「はい。おはよう御座います」
「おはよ。
でもさぁ。もうちょっと優しく起こしてよ」
「寝坊している人にそこまでの優しさはあげられません!
早く顔を洗って下さいね。キドが朝ご飯作ってますから」
「わかった〜」
カノはもぞもぞと動き、布団に潜ろうとする。
そんなカノに拳骨を一発。
ゴチンッ!!
「いった〜!!」
「起きてって言ってるでしょ!」
「わ、わかったよ〜。うぅ〜〜〜!」
泣く泣く布団とお別れをするカノ。
泣くほどなら早く寝ればいいのに…。
さて、あとは1人。
まあ、こっちもたいへんなんですけど。
「マリー?朝ですよ?」
「…う、ん…」
「いやいや、寝返りをうってないで早く起きてくださいな」
「……眠い…」
「でも、もう7時半ですよ?寝坊は体に毒です」
「あと、10分…」
「多過ぎです。甘えてないでください」
部屋に入れば長い髪をぼさぼさにしてベッドからのそのそと動くマリーがいました。
もう。早寝なのに低血圧ってたいへんですねぇ。
「起きてご飯食べましょう?きっとスッキリしますから」
「ご飯……?」
「はい。今起きてくれたら、マリーが好きな私手作りのクッキーをあげます」
「…………起きる」
すごい考えましたね、今。
起きてくれるのに越したことはないので別に構いませんけど。
最後に一回だけマリーに声を掛けて、私はキドが待つダイニングに向かった。
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