黒子♂
昼。俺は机の上に弁当を広げ、箸でつついていた。
すると現れる、デカい男子。
「…よく食べるな、火神」
「あ?普通だろ。レンが食わねぇんだよ」
「火神が普通なら胃袋はブラックホールだな」
「オレは宇宙人じゃねーぞ」
宇宙人でもブラックホールを胃袋に持つ奴はいないと思うがな。
その辺、バカだ。やっぱり。
今日も火神は購買で買ったパンを大量に持っていた。
焼きそばパンやらメロンパンやらあんぱんやら。
「あれ?火神がドーナツなんて珍しい」
「それ、やる」
「え、くれんの?いいのか?」
「だから放課後付き合えよ。どうせヒマだろ?」
「まあ、これと言って用事もないけど」
今日は教師達が職員会議をやるそうで、部活もカットされ、しかも昼飯が終わったら下校という、特別日課で動いていた。
だから午後はまるっきりフリー。
「で、何処行く気だ?言っておくが金は無いぞ」
「違ぇよ。ストバスだ、ストバス」
「……ほ〜。このバスケバカめ。ちょっとは休めばいいのに」
「家に居ても退屈なんだよ。レンとバスケするの好きだし。
今日こそは勝ってやるよ」
ニヤリ。笑って言う火神。
こいつは俺にまだ勝ったことがない。全部俺がギリギリでスティールしてシュートしてっからな。
そして受けたのは宣戦布告。
俺も火神と同じ笑みで返してやる。
「いい度胸だな。勝ったこともないクセに」
「だからやるんだよ。それとも逃げんのか?」
「まさか。やってやるよ。負けた方はジュース奢りな!」
「いいぜ!」
予想外に決まった午後の予定。
どんな風に負かしてやろうか。と考える俺がいた。
手を伸ばした先に(勝利はあるのか、思考する)――――――――――
お題:『蝶が還る処』様より
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