7
次の日。悠太と入れ替わるように熱を出した。
原因は昨日、悠太のジュースを飲んだから。
お母さんにも怒られてしまった。
「でもせっかく悠太ちゃんが元気になったのに。遊びに行けなくて残念ねぇ」
その言葉で思い出されるのは昨日のこと。
少女に怪我を負わせてしまった、あの時。
…考えても仕方ない、か。
「……別に」
記憶を放置して、寝返りをうった。
「祐希、飲みたいものがあったら買ってきてあげるよ。何がいい?」
「りんごジュースのカゼ菌入ってないやつ…」
「そんな注文の仕方しなくても普通入ってません」しょうがないじゃん。だって昨日飲んだジュースには入ってたんだもん。
――――――
しばらくして、悠太が帰ってきた。
「さっきさぁ。公園の前通ったとき頭がきいろの人がつかみかかってきたよ」
「え…」
「あ、ヤンキーとかじゃなくてね。普通に同い年ぐらいの女の子」
一瞬、あの少女が頭に浮かぶが、すぐ振り払う。
「ふーん…。何か言われたの?」
「うん。でも地球語なのかすらわかんなかった」
ボクが前に思った感想を悠太が言う。
やっぱり、そうなのかな。
悠太が持って帰ってきたガチャポンに、ふと目が行く。
「ヒーローヤマトだ。ずるい悠太ガチャポンやってきたの?」
「ちーがうよ。その頭きいろいの子に渡されたの。
でもオレそーいうの興味ないし祐希ほしいならあげるよ」
そこで確信した。
少女は、ボクと悠太を間違えたんだろう。
悠太に渡されたガチャポンを見て、思った。
(…………自分で当てようと思ってたのに)
「―――…」
一つ、言葉を呟いて、またベッドへ潜った。
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