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―祐希side―
「まだ?」
「…まだ」
帰り道。欲しい新刊が出たから悠太と一緒に本屋に来た。
「立ち読みしたらつまんないよ。どうせ買うんでしょ?それ」
「だって読まないと保存用にもう1冊買う必要があるか見定められないし」
早く帰りたい悠太がオレの腕を引っ張って急かしてくる。
けどオレもここから動く気はない。
「止めなよ。保存用なんて酷な。
本だって読まれてこそ自分の生涯をまっとうできるってもんだよ」
「えー。
まさか、悠太はアニメージャの気持ちが分かるの?」
「そうです分かるんです。早く買ってきて下さい」
投げやりに言う悠太に、ちょっと考えた後……またアニメージャに視線を落とした。
「なんか悔しいな…。オレも分かるまで読もう」
悠太の作戦を逆手に取った言動に、悠太は溜め息を吐く。
「祐希早くー」って言うオレに「もうちょっとー」って返事をした。
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