銀色世界を進め! | ナノ


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アスカside.



《2年Fクラス神凪アスカ、日向和樹。至急学園長室へ来るように。繰り返す――》

「あん?」

「呼び出しだよね、これ……」



鬱陶しい授業も終わり、うっしゃー放課後だ本屋寄って新刊の漫画買おう!とか思ってたところにこの放送。

あのババア、明日の朝日は見たくないらしい。



「って、何する気!?朝日を拝めなくするの!?呼び出ししただけでその仕打ちですか!!?」

「いやだってさ、今日銀魂の発売日じゃん。本屋寄って早く読みたいんだよ私は。
それを邪魔するなら仕方無いかなぁ、と。実際かなりイラッと来たし」

「いやいやいや!本屋はどうせ帰る途中で寄ってくんでしょ!遅くても平気だって銀さんは逃げたりしないから!!」

「おいアスカ、今度は何をやらかしたんだ?」



和樹の華麗なツッコミを流しながら(流さないでくれる!? by和樹)悪友であり親友の一人、坂本雄二がニヤけながら歩いて来た。

それに若干睨みながら言い返す。



「何にもやってねーよ。また雑用じゃね?」

「え、何で僕も行くの?」

「アスカが暴走した時のストッパーじゃないの?」

「どういう意味だ明久。鉄人呼ぶぞ」

「何故に!?」

「けど一理有るかもしれんのう。2人を呼んだのは学園長じゃし」

「止めてよ秀吉くん。唯一見ないようにしてた理由なのに」

「和樹さーん、その言葉で私を傷付けてるって知ってます〜?」



悪友であり親友・吉井明久と、可愛い容姿を持つ親友・木下秀吉も会話に混ざる。

いや、明久も可愛いけど、それは“バカ可愛い”だからな。秀吉とは少し違う。



「なーに?またやらかしたの?」

「あまりヤンチャをするのはいけませんよ、アスカちゃん」

「……Fクラスの評価が下がる」

「おい。和樹も呼ばれてるって知ってるよな?何で私だけ悪くなるんだよ。頼むから追い討ち掛けないでくれ。
それと康太、元からこのFクラスの評価なんて高が知れてるから。今更だろ」



親友の島田美波と姫路瑞希。それから悪友兼親友の土屋康太。

当然の如くいつものメンバーが揃った。


ここ、文月学園の2年Fクラスは少し特徴的だ。

頭が切れるけど筋肉バカなクラス代表。

呆れるほど優しいけどすぐ騙される観察処分者。

男でも女でも無い第三の性別である演劇部ホープ。

圧倒的裏方の能力を持つムッツリスケベ。

暴力的だけど意外と乙女チックな帰国子女。

料理の腕が壊滅的な学年4位。

そして、日本で(何故か)有名な不良で観察処分者の私と、抜群の歌唱力と声優力があるツッコミの和樹。

今年の2年Fクラスだけは、クラスの壁だけじゃなく、学年、教師の壁さえ越えて交流している。

あれだけ教室格差がある文月学園では珍しい…らしい。

でも、実際は3年の一部とゴタゴタを起こしたり、教師陣が呆れ返るような事(女子風呂覗きとか)をして、諦めているからかもしれない。



「しょーがねぇな。ちょっくらババアの顔拝みに行ってくる」

「おう。ついでに課題貰って来い」

「貰ったら雄二に押し付けるからな」

「はいはい。仲良いんだから。ほら行くよ〜」

「へいへい」



さっさと行って用件済ませて、漫画買いに行かないと。

明久達に別れを告げて、ババアの部屋を目指す。


この時、普通に終わると思ってた。

何事もなくテキトーに終わって、また明日皆に「おはよう」って言うんだと。

この時までは。



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