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「ん?銀時、万事屋の従業員増えたのか?見知らぬ女子がいるが」
「おう。最近入った奴等だ」
「そうか!俺は桂小太郎という。宜しく頼む」
「……あ、はい。初めまして、日向和樹です」
「…………神凪、アスカ」
「和樹殿とアスカ殿か」
ちょっとフリーズしてしまった。
あまりにも衝撃的で…。オタクの身としては、目の前に神と崇める声優さんがいらっしゃる様なものだから。
神楽ちゃんを始め、銀魂キャラに会った時も内心凄い動揺してたし。
多分、アスカが反応遅れたのも、それが関係してると思う。
「つーかヅラ。お前これどういうことだ。何いきなり人ん家の戸を壊してくれちゃってんの。どうしてくれんだこれ」
「ヅラじゃない桂だ。戸については謝ろう。しかし俺は何回も呼び鈴を鳴らしたぞ。なのに開けてくれなかったから強行手段に出ただけだ」
「だってお前過激派攘夷浪士じゃねーか。そんなもんを家に入れたらチンピラ共に色々言われんだよ」
「そんなもの知るか。お前がなんとか言い包めてくれ」
「誰がヅラの為にそんなことするか」
「ヅラじゃない桂だ。何度言えば分かる」
凄い、生声だ…!
僕、桂さんの声優さん大好きなんだよね!淡々としてるし格好いいし!
生の「ヅラじゃない。桂だ」を聞けたよ…。幸せで胸が一杯です。
ピロリーン!
「…アスカちゃん、何してるの?」
「スマホでムービー撮ってる」
「何でそんなことしてるの!?」
「だって、目の前にヅラがいるんだぞ!?撮らないでどうするんだよ!!
ここで撮らなきゃ私のオタク魂が廃る!こんな機会滅多に無いんだからな!」
「いや、だから何でムービー?桂さんってそんなに有名?
あ、そっか一応攘夷浪士だから有名だよね。でも、ムービー撮影してどうするの?」
「永久に保存する。もう既に保存したしSDカードにもバッチリ入ってる」
「手際良過ぎるでしょ!!そこまでさせる理由は何なの!?」
「叫んでるんだよ…。私の胸と頭の中でガンガンと響くんだ。
ここでやらなきゃ、何の為のオタクだって」
「ちょ、元からアスカちゃんの頭のネジは数本取れてるの知ってるけど、ここまでだとは思わなかったよ。もう何言ってるか分かんないよ。和樹ちゃんも何か言って!」
「…………。アスカ、後でそれメールで送って」
「了解。今すぐやっとく」
「何でそうなる!?和樹ちゃんもしっかりして!!」
ごめん、新八君。
これだけは僕も譲れないんだ。
確かにね、僕は他人からもツッコミ役だって言われてるし、作者(管理人)もそういう設定で僕を生み出してくれたよ?
それは僕だって理解してるし、ぶっちゃけ僕がツッコまないと誰もやらない生活を送って来たから納得だってしてる。
それでも、それと同時にね、……僕は、オタクなんだ。
ここで動かなきゃ、オタクを名乗れないし仲間の皆さんに顔向け出来ない!
こんな素晴らしく美味しい状況に巡り合えたんだ!やらなきゃ損でしょ!
「もう君達が分かんないよ!」
新八君のそんな叫びの10秒後、アスカからのメールで動画が送られて来た。
即行SDカードに保存しました、まる。
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