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アスカside.
場所が変わって真選組屯所。
只今私達がトリップして来たことを近藤さん、土方、沖田、山崎に説明中だ。
途中で「嘘だ」とか言われると思ったけど、始終何も言わずに黙って聞いてる。
山崎にも聞かせたのは、監察として聞いといた方が後々此方に有利だと思ったからだ。
「世の中には不思議なことがあるもんだなぁ」
「あんまり信じられる話ではないと思うんですが…事実なので」
「というか、その異世界旅行機を使用させた奴って一体何者ですかィ?」
「脳ミソが腐り果てたババアだよ。別名妖怪」
「人間かそれ」
「一応。だから人間の皮を被った妖怪ババアなんだよ」
「それ学園長が人間じゃなくなってるから!どんだけ学園長嫌いなの!」
「校舎を爆破させるくらい?」
「爆弾事件に学園長関わってたの!?」
まぁ、間接的に。
遅刻ぐらいで鉄人を寄越しやがってあのババア…。
「…話は分かった。だが、お前が刀を振り回せる理由にはなってねぇ」
「……見逃せよそこは。これだからニコチンマヨラーは好かねぇんだよ」
「関係無ぇだろ!!」
やっぱりツッコんで来やがった。
もういいだろ。トリップのこと話しただけで充分じゃん。
これ以上の話は銀さん達にもしてないってのに……。
「ただの学生なら刀を振り回したりしねぇ。何を隠してる」
「人の事情にズカズカ入り込むなんて悪趣味だぞ」
「味方かどうか分かんねぇ今、不穏分子は取り除くに限るんでな」
「正論だけど……話せるようなことはありませんよ?」
「和樹ちゃんは知ってるのかな?」
「……知らなくは無いですが教えませんよ。アスカが言わないって言うなら」
「そうだそうだー。私から言えることはもう無いんじゃー」
「棒読みじゃねーか」
「マヨラーだって触れられたくないことの一つや二つあるだろ。女は秘密があってこそ煌めくんです〜」
勘弁しろよ、マジで。
家のことまで持ち出す気は無いっての。
「はぁ…。簡単に言うなら、家で戦う術を仕込まれたって感じだ。そこら辺の芋侍と変わんねぇよ」
「あんだけ殺気を出してて、か?」
「殺気くらい、剣術を習えば身に付くだろ」
「銃は?」
「それも家で仕込まれた。警戒してるとこ悪いけど、これエアガンだからな?」
頭に当たっても脳震盪が起こるくらいで。
死にゃしないように改造してるさ。
「はい以上終わり!取り調べ料金渡しやがれ」
「んなもん無ぇよ」
「そんでも警察か?その財布の中に溜め込んでる札束全部出せ」
「チンピラみたいなことしないの!」
「私じゃなくて、コイツ等がチンピラだ」
税金ドロボー、チンピラ警察。
いろいろ言われてるんだから今更だろ。
「納得しろなんて言わない。けどこれ以上話すことは無い。諦めろ」
まぁ、事と次第によっては考えるけど。
呟けば、土方は脱力して溜息を吐いた。
「分かった。お前等が攘夷浪士と接点があった時だけ縄をつけるとしよう」
「なんだ、話分かるじゃん」
「俺達をなんだと思ってるんだ。近藤さんも、この件についてノリ気じゃ無さそうだし。そんなら大将の意思に従うだけよ」
「見事な忠犬っぷりだな。鬼の副長」
「ありがとうございます、土方さん」
「んじゃ、この件は終わりだな。俺ぁ帰るわ」
「僕も帰りますね」
「アスカと和樹はどうするアルか?」
「僕達も帰る…」
「ちょっと待ちなせェ」
「んだよ沖田。まだ何かあんの?」
「2人共、まだ時間ありますかィ?その戦闘の腕を見込んで、少し付き合ってほしいんでさァ」
「何に、ですか?」
「稽古をつけてほしいんですよ」
「稽古ぉ?」
真選組に稽古?
いらなくね?警察に教えていいのかよ、私等一般人だぞ。
「最近、隊士共の気持ちが緩んでると言うか……動きが鈍ってるんでさァ。だから一戦交えてぇと思いやして」
「おいおい、訓練くらいしろよ警察が」
「何分芋侍の集まりだからなァ。ちょっと稽古しないとすぐ怠け癖が出るんだよ」
「和樹、どうする?」
「僕、アスカと違って非戦闘組なんだけど…」
「護身術くらいなら使えるだろ?」
「まぁ、それくらいなら…」
「え!?アスカ達まだ帰らないアルか!?」
「いい機会だからなぁ」
最近仕事もしてなかったし、正直腕が鈍ってるのは私もなんだよねぇ。
丁度良いし、お言葉に甘えるかな。
「オッケー。付き合うぜ」
「アスカがやるなら、僕は強制なんでしょ?」
「モチのロン」
「やっぱり…。分かった、付き合うよ」
「おいおい。多串君、総一郎君、怪我させないでよ?」
「多串じゃねぇ!!」
「旦那、総悟でさァ」
「2人も、遅くならないように帰って来てね」
「新八君、お母さんみたいだね。了解。夕飯までには帰るよ」
「そんな奴等ギッタンギッタンに叩きのめすがいいネ!手加減無用ヨ。特にあのドSとかナ!!」
「んじゃ、沖田のことは私が集中的に潰すか。神楽、任せとけ」
「よろしくヨ!」
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