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和樹side.
「う…、ん?」
眩しさに目を覚ます。あれ?ここどこ?
隣にはアスカがまだ眠ってる。ここは…公園かな。
いや、何で公園にいるの?
そこでふと、少し前の時間に起こった出来事が脳を横切った。
「っ…!アスカ!起きて!」
「んぁ?あ〜…何だよ和樹……まだ夜だろ…?」
「思いっきり昼前だよ!ってか起きて!状況見てくれる!?」
「ん……、は?」
やっと覚醒したアスカは、なんとも間抜けな声を発して、キョロキョロと周囲を見渡した。
そして、さっきの僕と同じ質問を繰り返す。
「ここ、どこ?」
「僕も分かんないの!学園長の実験を手伝う為に灰色の箱に入って…そこから全然記憶が無いんだよ」
多分、寝てたんだろうけど。
まさかこんな公園に放り出されるとは思っても見なかった。
「まるでホームレスみたいだな」
「みたい、じゃなくて本当にホームレスだよ…」
異世界にトリップしたのなら、ここに僕等の家は無い。
ここが何の世界なのかだけでも確認しないと。
「随分個性的だな。着物…ってことは江戸時代とかそこら辺?」
「だと思うけど……」
「それにしたって、何、あの人外」
アスカが指差したのは、まるで犬のような顔の二足歩行生物。
何、あれ…。周りの普通の人達は、道を開けるように端へ寄っている。
「……なんか、見慣れた光景じゃね?」
「僕も思った。何か忘れてるんだよね」
何だっけ……、と2人して首を捻っていたら。
叫び声と一緒に、白い塊が視界に入った。
「定春ぅうう!!止まるアルよぉおお!!」
へ?定春?
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