憂鬱物語 番外編 | ナノ



結局話すことは出来ず、放課後になってしまった。

もう皆部活を始めて…アップは終わったから、今日はゲームするのかな。

赤司征十郎はどこにもいなくて、ひとり呆けていた。



「赤司征十郎、どこにいるのやら…」



――ドンッ!


曲がり角で、誰かにぶつかった。

意識が宙に浮いていたらしい。集中力が疎かになってる。

私はすぐに顔を下げて、ぶつかった相手に謝った。



「ご、ごめんなさい。大丈夫です、か……」

「ああ、こちらこそすまない。怪我は無いか?」



赤い髪に、左右で色の違う瞳。

その顔は、資料にあった写真と全一致した。



「あ、赤司征十郎…?」

「そうだが」

「やっと見つけた!」



おおう、あまりの嬉しさに大声出しちゃった。

ヤバいよね、うん。相手はあの“赤司征十郎”だし。

けど私も早く部活に出たいから、悪いけど少し付き合ってもらおう。



「ごめん、今少し時間ある?無いって言っても無理やり付き合わすけど」

「は…?」

「ちょっと来て!」



手を掴み、向かう先は私の教室。

そこに調整表があるからだ。



「部長に頼まれてるんだけど、今度の練習試合の調整をしたいんだ。男子の副部長、あんたでしょ?」

「ああ。構わないが…」

「ホントにごめんね。女バスの部長が今日委員会で出られないらしくて。私が同学年だからって頼まれたんだ」

「君は、女子バスケ部か?」

「え?ああ、うん。一応レギュラーだよ」

「…そうか」



サラサラとペンを走らせる赤司。

いや、仕事が早いね、この人。



「そういえば、名前を聞いていなかったな」

「私?黒子朔夜。双子の片割れである弟がいるから、出来れば名前で呼んでほしいな」

「朔夜…か。出来たぞ」

「ありがとう!」



これで練習に行けるしバスケも出来るー!

今日あった憂鬱感が取り除かれてスッキリした。

あとはこの表を顧問か部長に渡すだけ、と。



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