憂鬱物語 番外編 | ナノ



赤司征十郎。テストは常に学年トップ。生徒会長を務め、男子バスケ部副部長。

童顔でオッドアイ。ポジションはポイントガード。

練習には非常にストイック。身体能力や才能が凄まじいが、それを盾にすることもなく努力家。

教師・先輩からの信頼も厚い。



「何なんだ、この超完璧人間さんは…」



私のような面倒くさがりの人間はこんな人に話しかけていいのか?

私なんて、成績は中の上。委員会は図書。部活は一応レギュラーだけど平部員みたいなもんで下っ端だし、練習はするけどあんまり好きじゃないし。

ああ、もう。憂鬱だ。



「はあ…」

「どうしたんですか?溜息なんて」

「あ、テツヤ」



委員会から帰ってきたらしい。

どうした、と聞かれたから、かくかくじかじかと教えてあげた。



「え、赤司君とですか?」

「うん。先輩は皆委員長だから暇が無いんだってー」

「いや、でも無謀でしょう。あの赤司君ですよ?」

「それはこれを見てよく分かった」



ひらひらと見せるそれは先程まで読んでいた資料。

赤司征十郎に関する記事を片っ端から盗……ごほん。貰ってきたものをまとめて整理したやつだ。

けど読めば読むほどやる気は失せる。だってこんな手の届かなそうな完璧人、誰が口を利けるのさ。



「テツヤは?赤司征十郎と話したことないの?」

「僕は三軍なので。全員で話を聞いている時ぐらいしか会いませんし」

「だよねぇ。そんな人と私が話すって、自殺行為以外何物でもないよねぇ」



はぁ……。

溜息は止まることを知らず、ただ吐き出されていった。



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