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「…眠い……」
現在時刻、12時45分。
とっくに昼ご飯も食べ終わり、私的には昼寝の時間に入る。
けど13時15分には5時間目が始まってしまう…。起きてられる自信が無い。
しかも5時間目は古典だ。
「起きてろって言う方が無理でしょ……」
1年生の古典の担当はかなり年の行ったお爺ちゃんで、ゆっくりと和やかに喋るのが特徴だ。
そんな先生による古典の読み聞かせは、私にとって子守唄でしかない。
5時間目の数学と古典は私の天敵。ある意味神のお告げ。
『この時間は睡眠時間ですよ』という…お告げ。
そう考えてたら、だんだん瞼が重くなってきた。
(ヤバイ………ここ、廊下だ……)
いつもお昼は廊下の隅っこで食べる。今日も例外なくそこで食べていたのだが。
隅っこと言っても角度を変えれば簡単に人目に付く…。
ここで寝てサボるのは、ちょっとヤバイ。
先生に見つかると色々と面倒だし…。部活動停止になるかもしれない。
それは絶対に嫌だ。バスケが出来ないなら学校に来た意味が無い。
「どうしようかなぁ……」
そう呟いた時、ギュルルルルという音が耳に響いた。
疑問に思って辺りを見回せば、視界に入ったのは紫色。
……なんか、大きくない?
すぐに紫色は髪の毛だと分かったけど、その髪を持つ人が滅茶苦茶大きい。
「…すみません」
「……ん〜?何か用ー?」
「いや、今凄い音が聞こえたので…。お腹が空いたんですか?」
「うん。ブドウジュース飲みたい」
「ブドウジュース?」
「それと、まいう棒も」
まいう棒って、あのお菓子の?
聞けば、頷かれた。それなら、確か売店に何種類かあった筈だけど。
「ブドウジュースは、この近くにはありませんよ」
「そうなのー?」
「屋上近くの自販機じゃないと売ってないです」
「……詳しいね」
「屋上は私のテリトリーだから…」
屋上には、よくお昼寝をしに行ってますからね。
……そういえば、売店も屋上に繋がる階段の近くだったな。
「……あの」
「ん〜?」
「これから屋上行きますけど……一緒に行きます?」
なんなら、お菓子奢りますしブドウジュースが売ってる自販機まで案内しますよ。
そう言えば、紫色の頭をした人は大きく頷いて私について来た。
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