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『昼休み、体育館裏に来て』
何ともまあ、昔ながらの置手紙。
お昼ご飯を食べて、机の中を漁っていたらメモの切れ端が出てきた。
字からして女子だろう。
誰でも分かる、呼び出しだ。
「それで?何か私に御用ですか?」
来てみれば5人ぐらいのクラスメイト。と言っても、全く話したことが無い。
その中心に居た女子が、ゆっくりと口を開いた。
「自分で分からない?黒子さん」
「ある程度察してますけど、予想の範囲なんで。何かあるならさっさと言ってくれませんか?」
正直言って時間の無駄だ。私は昼寝がしたい。
というか何で敬語で話してるんだろ私。
ああ、考えるのも面倒になってきた。
「4時間目の体育であんなことしてたのに、理解できてないの?」
「黄瀬くんに近付いてさぁ。何様なワケ?」
「その上あんな酷いこと言って」
「マジウザいんですけど」
「調子乗らないでくれる?」
よく分からない、グチグチとした言葉。
直訳すると只の悪口。いつもはスルーしてるんだけどねぇ。
今回はちょっとばかしヤバいかも。
「黄瀬くんは優しいの。一人だけ輪から外れた貴女に話しかけることで、場の空気が悪くならないようにしてくれたのよ?それがどうして分からないの?」
「別に。余計なお世話なんですけど」
そんな返答を予想してなかったのか、全員の顔がポカンとした。
「だって、別に頼んだ訳でもないし、私はサボりたくてやっただけだし。というか、そこまで他人の心情を理解するなんて到底無理です」
「アンタ何言って」
「それと、付け加えておきます。
私が黄瀬とやらに言った言葉ですけど、あれは本心をそのまま口にしただけです」
嘘なんて一つも言ってない。それに文句を言うなら、黄瀬自身が出てくるべき。
「貴方達にそんなことを言われる筋合いはありません。以上」
もう帰っていいかな、私。
なんか疲れてきた。
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