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和樹side.
僕が高校生になってから、二回目の春が訪れた。
桜が満開に咲き誇る道を歩いていると、スポーツマンの様な格好をした教師が立っていた。
「日向、ギリギリだぞ」
「おはよう御座います。鉄、あ、いえ、西村先生」
「今言い直そうとしただろう…」
「気のせいですよ」
生徒指導主任、鉄人こと西村先生だ。
趣味がトライアスロンという先生は、僕が見てもいい筋肉を持っていると思う。
「まあいい。ほら、受け取れ」
「どうも!」
受け取ったのは僕の名前が書かれた封筒。
この中に今年一年のクラスが書いてある。
まあ、結果は分かりきっているんだけどね。
「日向。お前、何であんなことをした?
真面目にやれば、Aクラスなんて簡単に行けるだろう?」
「…さあ。でも、“あの子”がFクラスに行くって言うんで、ならいいかなって。
それに、今年のFクラスはバカなだけでは済まないと思いますよ」
「……そうか。では、行って来い」
こうやってバカとも真剣に話をしてくれる教師は少ない。西村先生はすごく貴重な先生だ。
いざ、僕のクラス、Fクラスへ!
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