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「雄二!」
「どうした明久にアスカ?脱走ならチョキでシバくぞ。
テスト受けてるヤツがいるんだ、静かにしろ」
悪いけど、今は冗談とアホに付き合えるほど暇じゃ無い。
「雄二、話がある。いいから聞け」
「…とりあえず聞こうか。だからその殺気はしまえ」
手っ取り早く殺気を出す。
時間が無いし余裕も無いんだよ。
こっちの真面目さが分かったのか、雄二も真面目に聞いてきた。
「「根本君/姑息ヤローが着ている制服が欲しいんだ」」
「…お前等に何があったんだ?」
しまった、これじゃただの変態だ!
正しくは中に入ってる物が欲しいんだけど話すワケにはいかないし…。
だからってこのまま変態だと思われるのは嫌だ!!
「まぁいいだろう。勝利の暁にはそれぐらいなんとかしてやろう」
「受け入れるのかよ!?」
「で、それだけか?」
それだけなことがあるか。
寧ろこっちの方が優先だ。
「瑞希と和樹を今回の戦闘から外してほしいんだよ」
「理由は?」
「言えたら苦労してない」
「…どうしても外さないとダメなのか?」
「どうしても、だ」
かなり無理を言ってるのは承知の上だ。
2人を抜きにしてやるなんて自殺行為以外の何物でもない。
私が居てもあんまり意味無いし。分身出来ればそれぞれの援護に回れるが…。
しかも、雄二からしてみればハイリスクノーリターンの可能性が高い。
私だったらこんな頼みは受けないだろう。
けど。それでも。
この幼馴染は、親友は、悪友は。
「……条件がある」
無理を通しても、私達を許してくれる。
そのキレる頭で、新しい作戦を立ててくれるんだ。
「2人が担う予定だった役割をお前等がやるんだ。
やり方は問わない。必ず成功させろ」
「当然!絶対にやってみせる!」
「良い返事だ」
どこぞの代表とは格も器も違う。
雄二が代表で良かった。
「それで、僕等は何をしたらいい?」
「タイミングを見計らって攻撃を仕掛けろ。科目は何でも構わない」
「皆のフォローは?」
「無い。しかもBクラスの出入り口は今の状態のままだ」
また無理難題だな。
Bクラスは場所が場所だけに、1対1になる。
出入り口を抜ける為には個人の火力が必要になる。
私は平気だけど明久は無理だ。私も守りながらBクラスは相手に出来ないし、時間が掛かり過ぎて意味が無い。
「もし、失敗したら?」
「失敗するな。必ず成功させろ」
失敗=敗北か。
普通なら無理だ。一般のヤツなら絶対に出来ない。
けど生憎、私と明久は別だ。
「雄二。私等は姑息ヤローに攻めればいいんだろ?」
「そうだ」
「場所に指定は無い?」
「ああ。攻撃を仕掛けられるならどこでも構わない」
「よし。やるぞ明久」
「え、うん」
これは一種の賭けだ。
それに賭けてくれた雄二の為にも、絶対に成功させないと。
「いいか明久。これは根性との勝負だ。失敗すれば負ける。だけど負けられない。いいな?」
「うん!」
作戦はキツいが、なんとかさせる。
その前に、明久か諦めるワケないが。
「美波!お前等も協力してくれ!」
「どうしたのよ」
「テストはどうするんだ?」
「補給テストは中断だ。私等に協力してほしい。
この戦争の鍵を握る大切な役割だ」
「…随分とマジな話みたいね」
「今回ばかりは冗談抜きだ」
「で、何をすればいいの?」
「――私等と召喚獣で勝負してほしい」
さて。あの姑息ヤローに一泡吹かせてやろうか。
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