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アスカside.
「Fクラス代表の坂本雄二だ。このクラスの代表は?」
教室を開けると、そこにはかなりの人数が残っていた。
戦争の準備をしているとは言え、妙じゃね?この人数。
「私だけど、何か用かしら?」
出て来たのは、代表の…あ、小山とか言ったっけ。
「Fクラス代表としてクラス間交渉に来た。時間はあるか?」
「クラス間交渉?ふぅん……」
雄二の言葉を聞いた小山が、イヤらしい表情に変わる。
私の勘が告げた。
コイツ、何か仕掛けてやがんな。
「ああ。不可侵条約を結びたい」
「不可侵条約ねぇ……。どうしようかしらね、根本クン?」
「当然却下。だって、必要ないだろ?」
小山が声を掛けた相手は、Bクラスの代表・根本だった。
「なっ!?根本君!Bクラスの君がどうしてこんなところに!」
「酷いじゃないかFクラスの皆さん。協定を破るなんて。試召戦争に関する行為を一切禁止したよな?」
「何を言って――」
「先に協定破ったのはソッチだからな?これはお互い様、だよな!」
根本の指示に合わせて、Bクラスの奴等が私達を囲んだ。
背後にいるのは、数学の長谷川先生。
「長谷川先生!Bクラス芳野が召喚を――」
「させるか!Fクラス須川が受けて立つ!
ナイス須川!お前見直した!
けどその場凌ぎだな。元々点数が削られている須川に勝ち目は無い。
「僕等は協定違反なんてしていない!これはCクラスとFクラスの――」
「無駄だ明久!根本は条文の『試召戦争に関する一切の行為』を盾にしらを切るに決まっている!」
「ま、そゆこと♪」
「屁理屈だ!」
「屁理屈も理屈の内ってな」
「和樹!私等もやるぞ!」
「うん!」
「おーっと、いいのかい?日向サン?」
ニヤニヤと笑う根本。何を隠してんだコイツ。
「…どういう意味?」
「俺等相手に戦っていいのかって聞いてるんだ」
「何言ってんだテメェ。和樹が戦えない理由はどこにも無いぞ」
「これを見ても、同じ台詞が言えるかな?」
取り出したのは携帯だ。
根本はそれを操作し、一つの電話番号を見せた。
その番号に、私は見覚えがある。
「――ッ!」
「日向サンはこの番号の意味、分かるよな?」
「あ、ぁあ……っ」
和樹の体が震え出す。
私は思いっ切り奥歯を噛み締めた。
「お父さんにここが知られるのは嫌だよなぁ?」
「とう、さ…ん……」
和樹の父親の携帯番号。
和樹は9歳の頃、ワケあって私が父親のところから連れて来た子供だ。
それ以来、ずっと私の家で育ててきた。
けど和樹は父親がトラウマになってしまった。名前を出しただけでも泣き出してしまう。
根本はそれを調べた上でやっている。
どこまで腐ってんだコイツ。
「テメェ、その番号をどこで知りやがった」
「秘密。さぁこれで戦力は半分になった。今だ!坂本を打ち取れ!!」
捕まえて拷問とか尋問したいが、今は全員逃がすことが優先か。
私は和樹の体を揺らして、声を掛ける。
「おい和樹、しっかりしろ。大丈夫だ」
「ぅあ、っアスカ……!」
「ここにアイツはいない。平気だ。今は雄二たちと逃げろ。いいな?
康太、和樹を頼んでいいか?」
「(コクリ)分かった」
「雄二、皆を連れて離脱しろ。これじゃ分が悪い」
「1人で平気か?」
「私を誰だと思ってやがる。ザコに負けてやるほど甘くねぇよ」
「…………分かった。行くぞ明久!」
「アスカだけでいいの!?」
「今ここで雄二がやられる方が問題だ!私は気にしないで行け!!」
まずは味方を逃がす。4人くらい後を追ったけど、あんだけ人数がいれば上手く撒けるだろ。
まぁ、もっとも――。
パンパンッ!
「!!」
「4人以上仲間のところに行かせる気は無いぜ」
エアガンをドアに向かって撃つ。
それに怯んで、Bクラスは動きを止めた。
「言うじゃないか不良が。お前に出来るのは物を壊すぐらいだろ?」
「正面からまともに戦えないヤツに言われたくねぇよ」
「ッ、お前等!このバカを殺せ!!」
根本の声で一斉に召喚が行われる。
ちょっと挑発すればすぐに激情しやがったなコイツ。
そんな単純じゃ、指揮官にはなれねぇぞ姑息ヤロー。
Bクラスになんなくて良かった。
「
二丁の銃を持つ、デフォルメされた私が召喚される。
それにより私の点数が表示された。
【数学】
Bクラス
20名 平均157点
VS
Fクラス
神凪アスカ 437点
「ザコは下がれ」
1人につき10発ずつ撃ち込む。
悪いが私は根本に用があるからな。構ってやれる時間は無い。
「さて、片付いたぞ」
「クソッ、化け物め……!」
「最高の褒め言葉だな」
笑いながら根本の持つ携帯を奪い、和樹の父親の番号をメモリーカードに至るまで消去した。
メモ機能まで使われていたが、消してしまえば関係無いな。
「あんまり調子に乗らねぇ方が身の為だぜ?根本クンよぉ」
「き、貴様のようなバカに、俺が負ける訳――」
「そうじゃなくて」
ヒュンッ
「次、私の仲間に何かしてみろ。
お前の首と体を離れさせちゃうぜ☆」
持っていたカッターで根本を斬らず、背後の窓ガラスだけを斬った。
殺気も出てるし、これで力の差は分かるよなぁ?
「……ッ」
「じゃーなー」
斬った窓ガラスから外に飛び降りる。
和樹、大丈夫かな。
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