我が道を進め! | ナノ


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和樹side.



「さて皆、総合科目テストご苦労だった」


教壇に立った雄二君が僕等を見据える。
今日の午前中は昨日に引き続き補給テスト。全教科やんなくちゃいけないからすごく大変だった。
今はテストがようやく終わって、皆が休憩をしている。
この学園は科目が現代国語、古典、数学、物理、化学、日本史、世界史、現代社会、英語、保健体育の10教科。
それに加えてテストの合計にあたる「総合科目」の11教科もある。
ホントに長かった。途中で「もういっか」とか思っちゃうくらいには。


「午後はBクラスとの試召戦争に突入する予定だが、殺る気は充分か?」

「「「おおーッ!」」」


若干、字が違う気がするけど、ツッコム気力がもったいない。
このテンションの高さはFクラス武器だから。


「今回の戦闘は敵を教室に押し込むことが重要になる。
その為、開戦直後の渡り廊下戦は絶対に負けるわけにはいかない」

「「「おおーっ!」」」

「今回は俺と、この姫路瑞希が前線部隊の指揮を取る。
Aクラス戦は一騎討ち。つまりはお前等の出番はここで終わる。最後はきっちり決めてやれ!」

「「「おおぉーーっ!!」」」

「が、頑張ります」


男子の気迫に押されながらも、瑞希ちゃんがおずおずと前に出る。
それだけでテンションのメーターが振り切れそう。いや、もう振り切れてるのかな。


「それに加え、今回はアスカと和樹も出るぞ」

「頑張るから、よろしくね」

「気合入れて行くぞーー!!」

「「「おおおおーー!!!」」」

「これだけのカードが揃ったんだ。この勝負、負ける訳にはいかない。いや、負けることは有り得ない!」


渡り廊下戦には、50人中40人が配置され、更に学年4位の瑞希ちゃん、元学年1位のアスカ、それに、恥ずかしながら第2位の僕もいる。
確かに、負ける確率は0に等しい。

キーンコーンカーンコーン

昼休み終了のチャイムが鳴った。戦争開始の合図だ。


「行くぞFクラス!システムデスクと綺麗な教室を手に入れるんだ!!」

「「「イエス、マム!!!」」」


アスカの掛け声と共に、一気に廊下を駈け出した。
今回の主戦力は数学だって雄二君が言ってた。
Bクラスは文系が多いのと、数学担当教諭である長谷川先生の召喚フィールドが広いから。
英語ライティングの山田先生、物理の木村先生もいる。
立会人の数も大丈夫だと思う。


「いたぞ、Bクラスだ!」

「高橋先生を連れているぞ!」


正面に見える数は10人。
ちょっと少ない気がするけど、相手がFクラスだから仕方ないかな。


【総合科目】

Bクラス 
野中長男  1943点
    VS
Fクラス 
近藤吉宗  764点


やっぱり単体じゃ意味無いね。全然適わない。
文字通り桁が違う。


「必ず敵1人につき3人以上で挑め!単体でやったらただの馬鹿だ!!」


アスカの指示で皆の動きが変わった。
すぐに対応してる。皆、凄いね。


「おら、こっちもそろそろ暴れんぞ、和樹!」

「はーい!サポートは任せて!」

「「試獣召喚サモン!!」」


【数学】

Bクラス
宮本加寿恵  153点
金本多圭子  160点     
    VS
Fクラス 
神凪アスカ  467点
日向和樹  455点


幾何学模様から現れる、アスカと僕の召喚獣。
アスカの召喚獣はラフなTシャツとショートパンツ。漆黒のマントを付けている。
僕のは丈が短い緑色の着物。二ーハイに草履を履き、ヘッドセットを付けていた。


「ちったぁ勉強して来いやぁ!!」

「ごめんねー」

「「キャアァアアア!!!」」


アスカの銃と僕のバトンで倒す。
うーん、瞬殺だ。相手が弱いのかな?


「お、遅れ、まし、た…。ごめ、んな、さい……」


息を切らせながら来たのは瑞希ちゃんだった。
体の弱い瑞希ちゃんのことだ。きっと全力疾走について来られなかったんだ。


「み、瑞希ちゃん大丈夫?」

「う、うん。平気です…」

「悪い、ちょっと手が離せねぇんだ。左側の殲滅してくんない?」

「わ、わかりました。行って、きます…」


ふらふらと、トタトタと敵の方へ行く瑞希ちゃん。
見てると、何か…。癒される。和むなぁ。


「――って、流されてる場合じゃなかった!アスカ、やるよ!!」

「なぁ和樹。可愛いって…正義だよな

「落ち着いて!今はBクラスを倒す方が先だよ!!」

「…何だ、拍子抜けだな」

「畳み掛けるぞ!」


ほら、バカやってる内に敵さんに囲まれたじゃんかぁ!
数は3人。しかも総合科目で出して来たし〜〜!


「やっぱりFクラスはバカしかいねぇか!」

「姫路もだな。こんなバカと一緒に戦ってるとか」

「頭良いヤツは考えることがおかしいのか?」

「!」


友達の悪口は許せない。
すぐに攻撃しようとした、その時。


「…れが………だ」

「あ?んだよFクラス」

「誰がバカだゴラァ!!」


【総合科目】

Bクラス 
東野忠志  1740点
西山武典  1843点
北地哲夫  1766点
    VS
Fクラス 
神凪アスカ  4890点


「確かにFクラスはどうしようもないバカの集まりだと思ってるし、私自身もバカだ!
だがな!!その仲間を、私の友人を貶すんなら話は別だ!そんなクソ野郎共は――――


私の前で地に伏せやがれ!!!


一瞬で3人も消えた。
正に弾丸の嵐。只でさえ一発の威力がメチャクチャ高いのを、1人につき50発も打ち込んだよ…!


「……容赦ないよね、アスカ」

「当たり前だろ明久。“友をバカにする者は虫以下”だ」

「それ“魔法少女リーネ”に出て来るアルカディスの台詞……」


そのアルカディス、僕の役だし。



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