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「とにかくだ。俺達の力の証明として、まずはDクラスを征服してみようと思う」
「お前はスルーするな!」
「皆、この境遇には大いに不満だろう?」
『当然だ!』
「ならば全員筆を執れ!出陣の準備だ!」
『おーーっ!!』
「俺達に必要なのは卓袱台ではない!Aクラスのシステムデスクだ!」
『うおおーーっ!!』
「お、おー……」
ああもう瑞希可愛いなぁ!
皆の熱気に合わせて手を挙げるところなんてもうヤバいよ!!
「明久とアスカにはDクラスへの宣戦布告の使者になってもらう」
「……下位勢力の宣戦布告の使者ってたいてい酷い目に遭うよね?」
「そうだそうだ!私はやられる側じゃない。やられている奴を見るのが好きなんだ!」
「アスカは完全にSだな。
大丈夫だ。奴等がお前達に危害を加えることはない、騙されたと思って行ってみろ」
「本当に?」
「絶対?」
「もちろんだ。俺を誰だと思っている」
雄二が強く断言した。
そこまで言われたら…ねぇ。
「大丈夫、俺達を信じろ。俺は友人を騙すような真似はしない」
「わかったよ。それなら使者は僕達がやるよ」
「正当防衛して、絶対無傷でかえってきてやる」
「ああ、頼んだぞ」
クラスメイト達に見送られながら、私と明久は悠々とDクラスへと向かった。
*****
「「騙されたぁ!!」」
約数分間後、Dクラスから私達は帰ってきた。
けど明久は制服ボロボロで傷だらけ。私はちゃんと防御してたんだけど…。
明久は喧嘩慣れしてないからなぁ。
「すごい勢いで襲って来たぞ!殺されるかと思った!」
「私は一応防御してたけど、あれ普通だったらヤバかったからな!?」
「やはりそう来たか」
「やはりってなんだよ!僕等への暴行は予想通りだったのか!」
「当然だ。そんなことが予想も出来ないで代表が務まるか」
「少しは反省しろよ!」
無駄だ明久。雄二はこんなんじゃ全然反省しないぞ。
「大丈夫?アスカ。制服ちょっと切れてる」
「おう。平気平気。すぐ直す」
いつも持ち歩いている、四次元ハンカチから裁縫道具を取り出してチクチクと塗っていく。
この四次元ハンカチは私の友人に頼んで作って貰った物で、かなり気に入っている。
「相変わらず器用だね〜」
「まぁな。ちまちましたのは好きじゃないけど苦手ではないし」
「おい。お前等も屋上に来い。作戦会議するぞ」
「あ、うん」
「お〜う。すぐ行く〜」
和樹はトタトタと先に歩いて行ったから、私は明久と美波、康太と一緒に屋上へ向かう。
「……………(サスサス)」
康太が一生懸命に頬を摩っている。はーん…。
「康太、もう畳の跡なら消えてるぞ?」
「……………!(ブンブン)」
「ここまでバレバレなのに、否定し続けるのはすごいと思うけど。
大丈夫。もうムッツリーニはもう立派な勇者だから」
「……………!(ブンブンブン)」
「「……因みに、何色だった?」」
「みずいろ」
即答ですか、そうですか。
「ほら吉井、アンタも来るの」
美波が明久の腕を引っ張った。
「はいはい」
「返事は一回!
一度、DasBrechen―――ええと、日本語だと……」
発音からしてドイツ語だろうなぁ。
DasBrechenって、確か――
「「…………調教」」
「そう。調教の必要がありそうね」
「もう少し柔らかい表現にしてよ!!」
「じゃ、中間とってZüchtigung――」
「…………それはわからない」
「ドイツ語で折檻だ」
「それ更に酷くなってるよね!?」
どうして美波はそういう言葉ばっかり知ってるんだろう…?
「というか、ムッツリーニ。何で『調教』なんてドイツ語を知ってるの?」
「…………一般教養」
「んなワケあるか」
パコッ、と康太の頭を叩いた。
絶対普通じゃない。
「なんというか、本当にお前は性に関する知識だけはずば抜けてるよな」
「………………!!(ブンブン)」
いや、今更否定しても遅いけどな!
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