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「お前だ。神凪アスカ!」
「……はぁああ!?え、私!?」
指を向けた先、口にしたのは私の名前。
いやいや、おかしいよ!
「何故に私!理由を簡潔に述べよ!」
「そんなもの簡単だ。知らないか?皆。こいつはあの鉄人と互角に戦えるぞ。
それに入学早々に奥にある4棟を爆発させたのもこいつだ」
「な、何!?」
「あの鉄人と互角だと!?」
「しかも“爆弾事件”の犯人なのか!」
私は確かに入学後すぐに鉄人に目を付けられて、一度戦ったことがあった。
その時あとちょっとのところで負けそうになって、けどどうしても勝ちたかったから、持っていた手作りミニ爆弾を4棟に設置。爆発させた。
結果、私は一応勝った。
鉄人は運良く捻挫程度で済んだ…。ってかアイツ絶対人間じゃないだろ。
何で4棟爆発させて全壊させたのに捻挫で済んだんだよ。未だに謎だ。
「そしてこいつは明久と同じく観察処分者となった。だがそれだけじゃない。
誰もが知っている、通り名がある」
「通り名?」
「おい、まさかっ」
嫌な予感しかしない。
けどそういうもの程、よく当たってしまうものだ。
「――――“堕天使”」
『な、なにぃいいい!!』
「あー!何バラしてんだよ!!」
けどその一言で「本物なのか!」と言われてしまい、内心で舌打ちした。
これじゃ自分で自分で自分の首を絞めたようなものじゃんか!!
“堕天使”――。
それはこの地域ではとても有名だ。
私達が中1の頃、この街周辺の不良が次々に更生していくという現象が起き始めた。
何処の不良もたった1人の…しかも女に跪き、忠誠を誓ったと噂され、もう二度と金を巻き上げたりはしなかったらしい。
その中心人物が堕天使。本人がそう名乗っていたからそうついたと言われている。
「その人物が、神凪なのか?」
「そうだ」
「うぅ〜!け、けど!あんまり戦力にはならないからな!私は明久と同じで観察処分者なんだから!!」
「あれ?でもアスカはフィードバックを6割ぐらい抑える道具作ってなかったっけ?」
「余計なこと言うな和樹ーー!!」
コイツ本当に私の味方か!?
くそ、誰か、私を守ってくれる人は…!
「お主、そんな物を作っておったのか?」
「…………驚き」
「へえ〜。アスカってスゴイんだ」
「アスカちゃん、すごいですね!」
「くそう!私に味方はいないのか!?」
そんなキラキラとした目で見ないでっ!
道具を作ったのは、ただラクしたかっただけなの!決してすごくなんかないの!
お願いだから尊敬する目で見ないでぇえええええ!!!
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