我が道を進め! | ナノ


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アスカside.



やあ、おはよう!皆のアイドルアスカちゃんだよ☆

…はい。ちょっとキモかったね。ごめんなさい。
ともかく、高校2回目の春。私は新学期早々遅刻をやらかした。
そんでもう間に合わないからヘリで学校に向かって窓から入っちゃえ!とか思って突入したんだけど…。煙が立ち過ぎて何が何だかわからん。
そこに突然、頭に衝撃が走った。
というか…


「いったぁ!!超痛い!何これ!?拳骨!!?」

「こんのバカアスカ!!」

「おおう!和樹!?え?何?」


殴ったのは家族で親友の和樹だった。
え?何で私怒られてんの?


「何が“怒られてんの?”だよ!怒るでしょ普通!
何で窓から入ってくんの!?お蔭で元から窓が割れてて風入って寒いのに、更に寒くなるでしょ!?埃すごくて周り見えないじゃん!!このバカ!」

「そんなに褒めないでよ〜」

「褒めてない!!」


相変わらずいいツッコミするなぁ。
だんだん煙も晴れてきて、前が見えるようになると、担任と思われる先生が私に指示を出した。


「神凪さん、遅刻ですよ。
とりあえず、今自己紹介をしている最中なので、貴女もお願いします」

「は〜い。
え――、神凪アスカ。只の人間に興味はありません。この中に宇宙人、未来人、超能力者がいたら私のところに――」

『俺達の涼宮○ルヒを汚すなぁあああああ!!!』

「何ぃ?ハ○ヒはお前等のものじゃない!私のものだぁあああ!!」

「やかましい!」

「あいたぁ!!」


また殴られた!!
最近の若いモンは血の気が多いのぉ。


「同い年だ!」

「まあまあ、和樹」

「騒がしいのぉ。相変わらずじゃ」

「やあ皆の衆!やっぱりお前等もFクラスだったか!」

「やっぱりとか言うな。少なくとも、お前と明久よりはいいぞ」

「「五月蝿いわ!!」」


ともかく、私の勘は当たったらしい。予想通り明久、雄二、秀吉、康太がいた。
美波と瑞希は予想外だったけど、結構嬉しかった。


「はいはい。そこの人達、静かにしてくださいね」


少し五月蝿すぎたか。先生から教卓を叩いて警告を投げかけてきた。


「あ、すいませ――」


バキィッ!

説明すると…うん。
教卓が、割れた。というか崩れた。ボロボロと。
う〜ん。Fクラスって、すごいなぁ…。


「え〜……替えを用意してきます。少し待っていてください」


気まずそうに告げて、先生は教室から出て行った。
教師の威厳が無い。発揮されないこのクラス。
改めてこのクラスの酷さが身に沁みた。


「……雄二、あとアスカも。ちょっといい?」


突然明久が声をかけてきた。


「ん?なんだ?」

「ここじゃ話しにくいから、廊下で」

「別にいいけど?」


立ち上がって廊下に出る。
今はどのクラスも今年度最初のHR真っ最中。当然、誰の姿も廊下にはなかった。


「んで、話って?」

「この教室についてなんだけど」


明久の言う、この教室とはもちろんFクラスのこと。


「Fクラスか。想像以上に酷いもんな」

「畳はカビだらけ。机じゃなくて只の卓袱台。チョークも無し。最後にはあの教卓だしねぇ。まるでどこかの倉庫だよ」

「二人もそう思うよね?」

「もちろんだ」

「Aクラスの設備は見た?」

「ああ。凄かったな。あんな教室は他に見たことがない」

「うえ?そうなの?」


私はさっきの通り窓からの侵入だったから、Aクラスの設備は見てない。
話を聞くと、ノートパソコンに個人エアコン、冷蔵庫、リクライニングシートがあるらしい。
すごいな、この学校。

因みに余談だが、私が窓を割って入ったのは鉄人に遅刻がバレたくないからだ。
だって五月蝿いんだよ?鉄人!


「そこで僕からの提案。折角二年生になったんだし、『試召戦争』をやってみない?」

「戦争、だと?」


『試召戦争』――試験召喚戦争の略で、科学とオカルトと偶然で作られた試験召喚システムによって召喚される召喚獣を使って、設備の異なる教室状況を改善する為に、他クラスと争う戦いのこと。
2年生から行えるこれを、いきなりやろうってのか。


「うん。しかもAクラス相手に」

「……何が目的だ」


雄二の目が細くなる。


「いや、だってあまりに酷い設備だから」

「うっそだぁ。勉強が出来なくて興味さえもない明久が、勉強用の設備を変えようだなんてありえないね!」


幼馴染で親友で、いっつも近くにいたからこそわかること。
明久はそんなつまんないことで動いたりしない。


「そ、そんなことないよ。興味がなければこんな学校に来るわけが――」

「お前がこの学校を選んだのは“試験校だからこその学費の安さ”が理由だろ?」


雄二の言葉に「しまった」、という顔をしている。


「あー、えーっと、それは、その……」

「……姫路の為、か?」


明久の肩が大きく跳ねる。おお、わかりやすい反応!


「ど、どうしてそれを!?」

「明久はわかりやすいなぁ!雄二はカマをかけたんだよ〜」

「うぐぅ……」


雄二は悔しがる明久をニヤニヤと見ている。
これは悪いことを考えているか、面白い玩具を見つけた時の顔だ。
今回はどっちもっぽいが。
そういう私も、結構上機嫌だった。


「気にするな。お前に言われるまでもなく、俺自身Aクラス相手に試召戦争をやろうと思っていたところだ」

「実は私も〜」

「え?どうして?」

「世の中学力が全てじゃないって、そんな証明をしたくてな」


雄二は不適に微笑んだ。
明久は常に面白い行動を取ってくれるけど、雄二もバカげたことするんだよねぇ。


「やっぱりこのクラスに入ってよかったよ。絶対面白いことしてくれるって思っていたからね」


あのAクラスに、目に物を見せてやる。
久々に心が踊ってきて、私のテンションは上昇した。



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