携帯獣とカラフルな道! | ナノ

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黄瀬side.


「さて、話してもらおうか」



赤司っちから2人に降り注ぐ視線がやけに痛い。
今日は待ちに待った週末、土曜日。「バトルやろうぜ!」とアスカっちが言ったら速攻で「その前に説明だ」と一刀両断されていた。可哀想にアスカっち。
あ、俺等のポケモン達は皆庭で遊んでるッス。アスカっちのピチューを先頭に、皆仲良さそうッスねー。



「僕達がここに来る直前、とある組織の動向を追ってた…って言ったよね?」

「ああ」

「その組織が、僕達にバトルを吹っかけてきた2人が所属する――ギンガ団だよ」

「ギンガ団…?」

「表向きには宇宙エネルギーの開発、研究を謳ってる。民間人にも名称が知れ渡ってるくらいだ。規模はデカい。町のあちこちに支部を持ってるし」

「本来の目的は何なのだよ」

「……伝説の、神と言われるポケモンを操って、その強大な力を利用し、今存在している世界を壊して新しい世界を創る。それが、真の目的だよ」

「「「な…っ!?」」」



言葉を失った。
次元を超えてしまうくらいの何かに巻き込まれた、というのはなんとなく理解してた。

伝説の神と言われるポケモン。
世界を破壊。
新しい世界を創る。

そんな夢物語で危険な事に彼女達は立ち向かっていたらしいッス。正直、スケールが大き過ぎて分からない。



「私等はずっとその野望を阻止する為に、義理の姉貴…シンオウ地方チャンピオンのシロナ姉や仲間と一緒に妨害を繰り返してた。世界を壊すなんてことをさせるワケにはいかねぇからな」

「お姉さん、チャンピオンなんだっけ?」

「そりゃあ強いわ。この間のバトルも納得いくぜ」

「話が脱線してますよ」



黒子っちが言って、また俺等は黙る。
とにかく全部聞くまでは大人しくしていよう。



「テンガン山っていう、シンオウ地方を東西に分ける大きな山があるんだけど、その頂上で儀式は行われてた。ギンガ団は遂に“赤い鎖”と呼ばれるポケモン制御装置を作ってしまって、それを使って時空の神々を操ろうとしたんだ」

「時空の神々の力を使ってギンガ団のボスは破れた世界の神さえも呼び出しちまって、何とかして止めようと幹部共やらと戦ってたら…………いつの間にかこの世界にいた」

「まさか、それは…」

「征十郎の考えてる通りだ。
時空の神々…ディアルガとパルキアの力が一度に衝突した所為であちこち時間が歪んだり空間が捻じれてた記憶があるし、破れた世界とも繋がっちまったお蔭でギラティナも来ちまったからなー。
そもそも、あんな鎖如きで神の力を制御出来る筈がない。けどアイツ等も囚われてるから上手く力が使えない。結果、恐らく暴走。次元が歪み、私等はここに飛ばされた――かなぁ」



頭に衝撃が走ってるッス。
何でそんな事に巻き込まれてるのに、笑顔でいられるんスか…。
自分が2人の立場だったらきっと気が動転してる。喋る事だってままならないかもしれない。

アスカっちとカズキっちは、いろんな場所を旅して来たと言っていた。
多分俺等が想像するよりもずっと厳しい事とか辛い事を乗り越えて来たんだと思う。
仲間と…ポケモンと一緒に。
同い年らしいッスけど…俺等より全然精神年齢は上ッスね。こんな状況でも笑顔なんて、並大抵の精神力じゃないッス。



「ねぇねぇ、聞いてもいい?」

「よっしゃバッチ来いさつき!」

「時空の神々…えっと、ディアルガとパルキアだっけ。それって何?」

「おっと、そうだったね。ちょっと待って」



カズキっちが図鑑を取り出して、一つのポケモンを表示した。
4足歩行の藍色の身体で、胸のところにダイヤモンドが付いている。



「アスカ、詳しいデータよろしく」

「おう。これはディアルガだな。
全国図鑑No.483。時間ポケモン。鋼・ドラゴンタイプ。高さ5.4m、重さ683.0Kg。タマゴグループは未発見又は性別不明。
“ディアルガの心臓が動くと時間は流れていくとされている、シンオウの伝説ポケモン。”」

「僕達の世界では、時間を作り出したポケモンとされているんだ。ディアルガが生まれてくれたから、時間という概念が存在しているんだよ」

「これまたスケールがデカいッスね…」

「それから、次がパルキア」



次に表示されたのは、薄い紫のボディに、両肩に真珠が付いたポケモン。
背中には翼の様な、ヒレの様な物を持っている。



「空間ポケモンのパルキアだよ。タイプは水・ドラゴン」

「全国図鑑No.484。高さ4.2m、重さ336.0Kg。タマゴグループは未発見又は性別不明。
“パルキアが呼吸をする度に空間は安定するとされる、シンオウの伝説のポケモン。”
シンオウ地方では亜空を切り裂くと言われる、空間の神様だ」



時間ポケモン、ディアルガ。
空間ポケモン、パルキア。

この2体の総称として、時空の神々と呼ぶみたいッス。
…あれ?1体忘れてる気が……。



「じゃあ、ギラティナって何ー?」

「ギラティナは破れた世界の神様だ」

「破れた…?」

「この世界の裏側にあって、ギラティナだけが棲む世界だよ。時空が捻れてて、時間・空間の概念が無いの」

「青く渦巻く背景や浮遊する足場とか、重力の方向が最大で180度傾いている場所とか、遠くからだと見えたものが近付くと消えるとか……現実世界の常識を覆す場所だ」

「お姉ちゃんの話では、ギラティナはディアルガやパルキアと同じ時期に生まれてきて、反物質を司るんだって。詳しいことは、僕達も分からないんだけど」



この2人もそうなんスけど、お姉さんも充分危険でファンタジーな世界にいらっしゃるんスねぇ…。



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