携帯獣とカラフルな道! | ナノ

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緑間side.



「…何故ここにいる。アスカ、カズキ」

ふぁって、ひははったんはもんだって、ひまだったんだもん

「ごめんね征十郎君。止めたんだけどアスカが“皆のところに行ってバスケが見たい!”って聞かなくて…」

『アスカちゃんは、一度決めたら中々曲げませんからー』

「(ごくり)征十郎が用意してくれた部屋にある本はある程度読んじゃったし、早々バトルも出来ねーし、超絶ヒマなんだぞ!」

『私も一理有ると思って、特に反論無し』



体育館の2階でアスカとカズキが正座し、赤司と向かい合っている。
今日はいつも通り学校があり、フシギダネはモンスターボールに入れて授業を受けていた。
放課後になり部活をしに来たら、この2人がいたのだ。
赤司の家で大人しくしていると聞いていたが…どうやら、言いつけを破ってコッソリ来たらしい。



「つーか、よくここまでの道分かったな。見られたらどうするつもりだったんだよ」

「勿論、ピチューの“テレポート”だぞ。一回言ったことがあれば自由に動き回れるから」

「アスカっち、何食べてるんスか?」

「モモンの実。甘くて美味いぞ」



ピンク色の小さな桃の形をしたきのみを頬張り、咀嚼している姿はリスの様だ。
…そうじゃない。まず、この状況をどうにかしないといけないのだよ。



「帰った方がいいですよ、2人共」

「何で?」

「2人共可愛いから危ないんだよ?それに、ポケモンを見られたりしたら大変だし…」

「可愛くはないと思うよ、さつきちゃん」

「……とにかく、俺達はこれから部活だ。邪魔だから帰れ。特にアスカ」

「酷くね!?カズキはいいのかよ!」

「カズキなら大人しくしてくれるだろう?普通の見解だ」

「反論したいけど出来ない…!」

『アスカ、諦めなって』



ガックリと肩を落とすアスカと、その背中を叩くピチュー。
どっちが主が分かったものではないな。
カズキと目が合うと、苦笑していた。
どうやら1回2回の話ではなく、しょっちゅう見ている光景らしい。



「大体、何故暇だからと言ってここに来たのだよ。バスケが出来る訳でもないのだから、ここだって暇だろう」

「だって、皆のバスケする姿、見たかったし」

「こっちの世界のバスケってどんなものなのか見てみたかったし」

「向こうにもバスケあんのか?」

「うん。ただ、人間同士だけじゃなくて、ポケモンも混ざったりするんだけどね」



それはそれで、見てみたいのだよ。
今分かったが、アスカもカズキも、好奇心が人一倍ある。
気になったら即行動。思い立ったら即実行。サッパリし過ぎている面があるのだよ。



「征十郎君。邪魔にならないようにするから、ここで見ててもいいかな」

「しかし…」

「僕達が色々危ないのは分かるよ。大丈夫、上手くやるから」

「そうそう!これでも潜入とかやった事あるんだぜ!」

「そういう問題じゃないッスよ?」

「でも、見に来てくれたのは嬉しいなー」

「……はぁ。仕方ない。今日だけだぞ」

「よっしゃ!」

「ただし、2階から降りて来ない事。練習の邪魔はしない事。これを守れ。いいな」

「ラジャ!」



今日の練習は、少々賑やかになりそうなのだよ。



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