携帯獣とカラフルな道! | ナノ


 3

「それじゃあ最後に、私等のポケモンを紹介するな!」



ウズウズ。そんな表現が似合うアスカっちの態度。
俺等より楽しみなんじゃないッスかね。



「征十郎君、全員出してもいいかな?」

「それは構わないが、大丈夫だろうな?14メートルもあるポケモンも居るんだろう」

「へーきへーき。私等のポケモンはそこまでデカいの居ないから」

「一応ポケモンサブウェイとかで入れるレベルだからね」



カズキっち、俺等はそのサブウェイってヤツがどれくらいなのか知らないッス…。



「……まぁ、庭を荒らさない程度ならいい」

「ぃよっしゃ!全員出て来い!」

「おいで、皆!」



2人は庭に向かって5個のボールを投げる。
そこから出たのは、何とも多種多様な姿をしたポケモン達だった。



「皆、久しぶり!」

「元気にしてた?」

「ヒュアーン!」

「トゲキー!」

「「んにゃっ」」

「おいアスカ!?」

「カズキっち!?」



最初にアスカっちに飛びついた…と言うより飛んで来たのは、この前青峰っちのミズゴロウを助けたラティアス。
カズキにこれまた飛んで来たのは白い羽毛に赤と青の三角模様がある鳥みたいなポケモン。この子は初めて見る子ッスね。
他のポケモンも2人を見た瞬間にべったりと引っ付いた。その所為で2人の姿が完全にフェードアウト。息してるッスか!?



「あはははっ、お前等くすぐったいよ〜」

「もう、トゲキッスは甘えん坊だね。よしよし。ああ、皆も撫でてあげるからおいで」



揉みくちゃにされながらも至って普通にしている2人を見て、これ愛情表現なんだ、とすぐに脳から判断が下る。
徐々に慣れ始めてる自分が居て少し驚いた。
人間は適応能力が高いって言うけど、ここまでなんスね…。



「……っと、そんじゃ順番に紹介するな。この白い子はラティアス。前にも会ったけど、この子は人見知りだから慣れるまで勘弁してやってくれ」

「ヒュア」

「んで、右隣に居る狐みたいな顔してて耳の下に飾りが付いてるのがルカリオ。コイツはツンデレなんだけど可愛いぜ。通称ルッちゃん」

「グォ!ガルグルゥ!」

「いいじゃんルッちゃんで、照れんな。その隣、青い身体してるのはダイゲンキ。パーティのパパみたいな感じ」

「ダーイ」

「次、左隣。紫色のネコっぽいのがエネコロロ。コイツも前に紹介したな。私のパーティのママだ」

「エネ」

「そっちのツノが鋭くて真っ白モフモフなのがアブソル。メッチャ紳士で優しい」

「アブ、アブソ」

「そして最後、パーティリーダーで我が相棒ピチュー。お喋り可能、全技使用可能、お姉ちゃん肌の頼れる奴だ。スーパーハイスペック」

『ま、一つ頼むよ』



ルカリオは未だにアスカっちに訴えてるけど、皆「まぁまぁ」という感じになってる。
カズキっち曰く「ルカリオはオスだから、ちゃん付けなのが恥ずかしいんだって」との事。でも本気で嫌がってはいないらしい。
「何でッスか?凄い怒ってるっぽいッスけど」「それこそツンデレだから」成程。アスカっちが大好きなんスね。



「それじゃあ僕の番ね。ラティアスと同じく前にも会ったけどサーナイト。色違いだけどそれだけじゃなくて、技の精密さも備えてる子だよ」

「サーナ」

「頭に炎が燃えてる子はゴウカザル。僕達の故郷シンオウ地方の初心者用として推奨される炎タイプの最終進化系。勇敢な子で男らしいよ」

「ウキャ!」

「両手に花を持ってる子はロズレイド。皆のお兄さんみたいな感じかな。エネコロロと仲がいいの」

「ロズ、ローズ」

「鋭い爪の持ってるのはマニューラ。やんちゃだけどそれ以上に優しい子。ゴウカザルとダブルバトルをする事が多いね」

「マーニュ!」

「それから、この僕にくっついてる白い子がトゲキッス。末っ子で甘えん坊なんだけど、好奇心旺盛だからすぐふらーっと居なくなる事があるのが悩み所かな。ルカリオに凄い懐いてるの」

「トゲ!」

「あと、僕の相棒。パーティの中でもマイペースなイーブイ。全進化退化可能、技の種類も豊富、喋れるっていうピチューと同じく中々万能っ子だよ」

『どうもー』



疑問に思ったのはルカリオに懐いてるっていうトゲキッスだった。カズキっちに暫くくっついていたけど、次にルカリオの方へ突撃している。ルカリオも満更じゃなさそうで。
ルカリオはアスカっちのポケモンだけど、それだけであそこまで懐くものなんスか?
訊いてみたら「ルカリオもトゲキッスも同じ“はどうだん”使いだから、共通点があるんだろ」「トゲキッスにとって第二のお兄ちゃんみたいな」と返って来た。
“はどうだん”ってのは技の一種で格闘タイプの特殊技……えっと、遠距離攻撃らしいッス。“はどうだん”を覚えるポケモンは少ないらしく、その殆どが伝説・幻級だから教わる事が出来て嬉しいと。
ポケモンコミュニティ……ッスかね。



「コイツ等、皆賢い奴ばっかりだ。最初は戸惑うかもしれねぇし、警戒もされるかもしんねーけど」

「すぐに慣れると思うから、皆共々よろしくね!」



大小様々なポケモン達をバックに従わせている2人の姿は圧巻の一言。
その目はずっと先を見つめてる。
歳が変わらないのに、とても大きく見える2人を――カッコイイと、心底思った。



prev / next

3 / 3



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -