球技大会本番・午前

「田村、左に全速力。水野、こっちにパス回して」

「はい!」



初戦開始2分。

球技大会のバスケの部は、1試合5分と決められている。

因みにタイムアウトは無し。その方が初心者には面倒が無くていいのかな。

只今5-4で私達が勝ってる。1点だけど。



「朔夜ちゃん!」



水野からのパスを受け取り、そのままタップパスで川瀬へ。

川瀬は走っていた田村にパスを回し、田村は古沢に渡す。

そのままシュート。これで7-4だ。


意外と点差開くな。ギリギリな展開を予想してたのに。

こりゃあミスディレ使わなくてもよさそう。よし、決勝戦まではミスディレ取っておこう。土壇場で効果が薄くなってたら困るし。



「このっ…!」



バスケ部員がボールをエンドラインから持つ。そのままドライブをかまして来た。

狙いはレイアップかな?どのみち、古沢は常にゴール下にいるから無駄なんだけどさ。



「古沢、止めて」

「うん!」



まるでバレー選手の様に飛び、余裕で相手のシュートをブロックする。

相手は全員平均身長。誰よりもズバ抜けて身長が高い古沢のブロックを越えるなんてまず不可能だ。

バスケに関してはかなり嬉しい才能だねぇ。その分、何故かCなのにゴール下のシュートが入らないという欠点を抱えてはいるんだけど。レイアップもあんまり入らない。

理由は本人にも不明。田村達はまぁ普通?くらいにまではなったんだけどなぁ。



「朔夜、よろしゅう」

「ん」



考え事してたら川瀬からパスが来た。上手くなったねぇ。

自分が一から育てた3人は、こう言うのは何だが最初よりかなり上手くなっている。

もう初心者とは呼べない。絶対授業より上のレベルでかじったでしょ?ってくらいには。

こういうのを、苦労が報われるって言うのかな。



「抜かせない!」

「残念だけど、それは無理です」



もう1人のバスケ部員が私の前に立ち塞がる。私を睨んでも全然怖くないですよ。

腰が高いし、動きも遅い。そりゃベンチにも入れないわ。

……あ、ダメだこんなこと思ったら。敵に失礼だ。

でもそう思考しちゃうのも仕方ないと思うんだ。

私、これでも1年間あの化け物共キセキの世代を相手にしてるんだよ。毎日あいつ等の1on1に付き合ってみなよ。すぐに強くなれるから。つか、疲れてやる気無くすから。



「考え事なんて余裕ね!」



負け犬の遠吠えはそこら辺に捨てとくのが私流です。

カットしようと伸ばされた相手の手をスルリと避けて、その隙にターンで抜かす。

そんな驚いた顔しないで下さいよ。いじめてるみたいじゃん。


そのまま抜かしまくって、3Pエリアでシュート。リングに当たることもなく、ネットを揺らした。10-4。

ハーフラインからでもよかったけど……止めた。

簡単に実力を見せるのは、なんとなく嫌だ。決勝戦までは大人しく、あくまで普通のプレーに専念することにしよう。


それから、3分が経過して。



「試合終了!」



2年8組、15-6で初戦快勝です。





試合の駒を進める



mae ato
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