さてはて

やってきました、球技大会当日。

皆早めに来てアップやらなんやらやってるけど、我等2年8組女子バスケチームはいつも通り登校した。

何故って?決まってるでしょうそんなこと。



「私が朝弱いからだよコンチクショー……」

「おいおい朔夜大丈夫か?いつも以上にグッタリしてね?」

「ここんところずーっとバスケの練習の為に、メニュー組んで実践して記録取ってまたメニューの組み直しして……っていう作業をひたすらやってたからねぇ…。流石に眠い」



口を開けば欠伸しか出ない。

桃城は朝練と同じくらいアップしてきたみたいで、汗を沢山かいてる。初っ端から飛ばす気満々だな、こりゃ。

私も後でアップしておかないとなぁ…。



「ところで朔夜」

「んー?」

「勝率はどの程度まで上がったんだ?」

「…勝率、ねぇ……。まぁ、決勝まではなんとか行けるレベル?」

「メチャクチャ上がってんじゃねーか」

「そりゃあもう、大変だったよ。初心者相手にあそこまでやるのはこっちの良心にも響くし。何より面倒くさかった。桃城達のテスト勉強を見た時くらいには」

「朔夜さん、その話は無しの方向で」

「朔夜!アンタ何してんのよ!!」

「……あ、田村…。おはよ」

「おはよう!」



桃城と雑談してたら、大声を上げながら割り込んできた田村。

何やら怒ってるんですが、私何かしました?



「してるわよ現在進行形でっ!私達の初戦は全体の1回戦目だって教えたでしょうが!!」

「……あ、うん。そーだね」

「だから始まる15分前に裏庭でアップするって予定でしょ!?アンタの為に時間遅くしてるんだからさっさと集まりなさい!」



そういえばそういう約束もしてたなぁ…。

呟くと桃城は豪快に笑った。



「ククッ、朔夜〜。友達との約束破っちゃあいけねーな、いけねーよ」

「桃城の言う通りよ!ほら、行くわよ朔夜!」

「はいはーい……」

「『はい』は1回!」



田村、お母さん…じゃないな。厳しいお姉様みたい。

そう言ったら思いっ切り頭にチョップされた。

痛いです、田村さん。でも眠気を覚ましてくれて有り難う。


*****


「やっと来たなぁ」

「おはよう御座います、朔夜ちゃん」

「まだ眠そう…。あと、そのたんこぶどうしたの?」

「おはよう川瀬、水野、古沢。因みにこのたんこぶは田村によって作られました」

「アンタが約束破るからでしょ!?」



それはごめんって。

皆のやる気が充分って感じで私は嬉しい。

これでこそ、睡眠時間削って練習メニュー組んで特訓した甲斐があるってもんだ。



「確認しようか」



球技大会に出場するチームはリーダーを一人決めることになっている。このチームのリーダーは古沢だ。

古沢は私を勧めてきたけど、丁重に断った。

古沢の方が面倒見が良いし、前向きで明るい性格は人に好かれる大事な才能。面倒くさがりな私より全然良いと思う。

その古沢が口を開いたことにより、全員が静かに耳を傾けた。



「あたし達の初戦相手は2年3組。バスケ部員は二人いるけど、ベンチに入ってる訳ではないからそんなに気負わなくて大丈夫。
チーム的には足が速い人が多くてスピード特化型。ボールを持ったら確実に速攻をかけて来るから、ディフェスは全力で集中して。ハーフラインまでで止められるかどうかで決まるよ」

「オフェンスは基本ギリギリまでボール回し。田村、水野、川瀬は落ちついて確実なパスを続けて。
時間ギリギリになってきたら私が中継になってフリーの人にパスを出すから…」

「出来たらシュート。無理そうなら麻由加か朔夜に渡す」

「リバウンドは無茶をしないで、教えてもらった通りに……」

「ディフェンスになったら切り替えを早くして、敵をよく見ることが大切なんやな」

「その通り」



よし、全員よく分かってる。

今回、ポジションはあまり深く考えていない。

体格的にCが古沢しか出来ないということを除けば、他は関係無いから。……まぁ、微妙なんだけど。

私も人一倍跳んだり走ったりすればオールマイティーで動けるし。



「ここまでやってきたことは裏切らないよ。失敗してもいいから、練習通りにやろう!」

「「「はい!」」」

「はーい」

「ちょっと朔夜テンション低い!」

「いやぁ、朝は弱いもので」

「さっき覚ましてあげたでしょ!?シャキッとしなさい!!」

「頑張りましょうね」

「気合入れていくでぇ」

「落ちついて確実に、ね」





ほどほどに頑張りますか



mae ato
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