確実か挑戦か



「…え、球技大会?」

「おう。毎年やってる行事でクラス対抗戦なんだけどよー」



テストから明けて1週間。

その朝、桃城から言われたのは球技大会の話だった。



「種目は普通にあるぞ。テニス、サッカー、野球、ソフトボール、バレー……。もちろんバスケも」

「いや、うん。説明有り難う。そうじゃなくて。その話いつから出た?」

「今さっき担任が言ってたぞ」

「ごめん寝てた」

「知ってっけど即答すんなって」



だって担任の話、長いんだもん。

熱血系で暑苦しいし。それをダラダラ聞くなんて私にとっては拷問でしかない。



「一時間目のLHRに出場種目決めるってさ」

「へぇ。まぁどれでもいいけどねぇ。桃城は?」

「テニス一択だな。球技系の運動部は皆、自分の部活の種目を選択するぞ」

「そりゃあそうだろうね。ルールも知ってるし動きにも慣れてりゃあラクだし」



私、何にしようかな。

帝光中って球技大会無かったんだよね。

そうじゃなくてもバスケは部活で散々やってたから、体育で率先してやるってこともしなかった。

ここは在り来たりだけどラクなバスケを取るか…。はたまたちょっとは楽しむつもりで別の種目にするか……。



「ねぇ。青学ってバスケ強いの?」

「普通だろ。そんな賞も取ってねぇし。
あ、でも去年の夏…関東大会に出るか出れないか、くらいまで行ってたぜ。確か女子」

「男子は?」

「男子は人数足りなくて出場してないんだ。練習試合とかはしょっちゅうやってるぜ」



帝光と状況が逆なんだ…。

え、ってことは、私がバスケで出場したら多分その人達と当たる?

うぇ、めんどくさ。

でも去年の大会に今の2年が出てるとは限らないし…。



「因みに今の2年も出てたぞ。スタメンで。今も一軍でユニフォーム着てる」

「どっからそんな情報手に入れるの?」

「そこら辺の女子が話してた」



そうだった桃城モテるんだった。

例え自分が興味無くても、周りの女子が話してるよねぇ。



「ふーん…。じゃあバスケ以外にしようかな」

「え!?何で?」

「面倒。関東大会に出た人と当たるかもとか、考えただけで溜息しか出ない」

「もったいねぇなー。朔夜、あんなにバスケ上手いのに」

「そりゃ、好きだけど…。それとこれは別物だよ」



あんまり目立つのもイヤだし。

バスケやると、どうしても他人の目線が分かってしまう。

ミスディレクションを使うが故に、って感じだ。



「でも、優勝すれば賞品貰えるぞ。今年は……売店の半額券だったっけ。一人20枚」

「それホント?」

「部長が言ってたから間違いねぇと思うぜ」



手塚先輩は生徒会長。

なら賞品の内容を知っていてもおかしくはないし、間違いってのもないだろう。


それに…売店の半額券というのはかなり興味がある。

流石私立って感じで、売店には本も売ってるんだよね。簡単で小さな冊子だけどかなり面白いやつ。

毎月発売されてるけど、定価500円。

私はボールとか、他にも買いたい本とかあるからあまり買えなかった。

半額券があれば250円。余裕で買える。

余ったら別でスイーツとか買えばいいし…。



「……よし、分かった」

「何が?」

「球技大会、バスケで出る」

「マジ!?何でいきなり」

「全ては半額券のため……。絶対優勝してやる」

「んじゃ俺、応援に行くな!」

「え、いいよそんなの。桃城だってテニスで出るんでしょ?」

「大丈夫だってそんくらい!それに朔夜のプレイ見たいし」

「それは期待されてるってことでいいの?」

「おう!!」



応援されるのって慣れてない。

勝つのが当たり前の世界じゃ、応援なんてされなかった。

けど、まぁ…いっか。私もヒマだったら桃城達のこと見に行こう。


ホントはバスケ以外にも興味あったけど……。

動きやすいバスケの方が勝ちやすいし。

全ては半額のためだ。頑張ろう。






結局、いつも通り


mae ato
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