結果発表

ドキドキのテストから3日が経ち。

今日はなんと、テスト返却の日だ。



「うぁ〜〜!どうしよ俺!」

「……まだ唸ってるの、桃城」

「こんなに緊張するテスト返却初めてだぞ!?
あ〜〜!どうか良い点数でありますよーに…!」



隣の席で朝から騒いでる桃城。

聞いたところによると、テストの時はずっと私が貸した鉛筆を転がしていたようだ。

答えの見直しも怖くて出来なかったらしいし。



「大丈夫だよ。あんなに頑張ってたじゃん」

「朔夜は緊張しねーの?」

「私はテストに興味が無いから。どんな結果でも受け止められるよ」

「やっぱ朔夜はそういうヤツだよなぁ〜」

「それどういう意味?」



自覚はしてるよ。興味が湧かない理由も面倒だからだよ。

仕方無い。少し元気付けますかね。



「桃城。頑張ったからって、必ず報われるワケじゃないけど…。
成功者は、皆何かしらの努力をしてるんだよ」

「え…」

「私から見た桃城は凄く頑張ってた。
だからきっと大丈夫だよ。そんな心配しなくても」



まぁ勘だけど。

呟けば、桃城は笑い出した。



「そうだな!慌ててもどーもなんないしな!!」

「そうそう。もう点数付いちゃってるんだから。サラッと受け流そうよ」



そんな話をしている内に、担任が入って来た。

手には紙の束。あと総合順位が書かれた成績表。

クラス中の視線がそれに集まる。



「予告通り、テストを返すぞ。今回は平均点がちょっと高めだ。心しておくように。
それじゃあ、出席番号順に取りに来てくれ」



私、最後なんだよねぇ。

暇だ……。眠くなってきた。

今は5時間目。お昼を食べて丁度眠くなる時間だ。


隣の桃城は、関係無いみたいだけど。

緊張で眠気もバッチリ、って感じだね。



「――次、桃城」



お、遂に呼ばれた。

カチコチに固まったまま、震える手で紙を受け取る。



「………………あ」



…ん?何その微妙な感想?

え、もしかしてそんなに悪かった?



「次、黒子」

「はい」

「よく頑張ったな」



はぁ。それはどういう意味ですかね担任。

それは桃城に掛けてあげて下さいよ。

まだ桃城の点数見てないけど。



「桃城?どうだった?」

「朔夜、俺どうしよう…」

「も、もしかして赤点?点数足りなかった?」



そう聞くと、桃城は私に成績表を渡した。

どれどれ、とそれを見ると…。



「俺、スゲェ点数取っちまった…」



桃城武 数学86点



「……え、何これ。数学苦手じゃなかったっけ?」

「だから驚いてんだよ!何だこれ!?」



勉強の成果…なのかな。

でも数学はずっと鉛筆を転がしてたし。

見れば、選択問題はパーフェクト。

残りの14点は文章題だし……。



「まさかの緑間パワー…?」

「朔夜スゲェなこの鉛筆!!これがあれば楽勝なんじゃね!?」



他の教科も、


国語88点

社会95点

英語78点

理科85点


中々に良い点数を揃えている。

しかも、選択問題が多かった社会に至っては90点代だ。


み、緑間お前……本当に何者…?



「と、とにかく。これで赤点は余裕の回避。良かったね」

「おう!勉強見てくれてありがとな、朔夜」

「約束忘れないでよ」

「抹茶シェイクだろ?14本分。任せとけって」



鉛筆も返してもらい、そっとペンケースにしまう。

うん、有り難う神様。そして緑間。



「そういや、朔夜はどうだったんだ?」

「ああ、点数?まぁぼちぼちかな」



成績表を見せれば、桃城は目を丸くした。

そんなに驚く程の点数かな。



「おいおい、5教科オール90点代って…」

「帝光だとこんなもんだよ。
1年の後半のバスケ部、私は男子と練習してたんだけど。男バスの主将が“70点以上は取れ”って言い出してね。
当時平均60点の私にだよ?ホントに死ぬかと思った」



けど赤司が。

「僕の言うことは?」って綺麗に笑いながら言うものだから。

こっちは「ぜったーい…」って言うしかないんだもん!



「何だその鬼畜は。そこまで酷いのかよ」

「お蔭で私はかなり順位が上がったよ。…けどもう、あれは地獄だ。
それ以降も私にだけ平均80点に設定してくるし」



今思い出してもムカつく。

でも200人いる中で、順位が65〜70を彷徨ってた私は、一気に40位になった。

両親にメッチャ喜ばれたなぁ。

その後も順位を上げ続け、結果、緑間と2位争いを繰り広げることになり…。

ぶっちゃけ私どーでもよかったんだけど。



「男バスの主将はどれくらいなんだ?」

「アイツはトップ以外取ったこと無い。少なくとも、私は見たこと無い」

「……ホントに人間か?」

「たぶん、恐らく、きっと。そうだと思いたい」



まぁ、その所為でいろいろ問題も起こったワケだが。

両親と仲も悪いらしいし。



「赤司は日本でも有数の名家の息子なんだよ。
それで小さい頃から様々な英才教育を仕込まれてきたみたいで。
眉目秀麗、成績優秀、運動神経抜群という3拍子が揃った、私が知ってる中でも断トツ1位の才能持ち」



所謂、天才。

初めて会った時はビビったものだ。



「ま、とりあえず。

おめでとう桃城。頑張ったね」

「おう!サンキューな朔夜!!」





努力した者に拍手を



mae ato
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -