試合・前篇 2

朔夜side.



「テツヤ、さーいしょーはグー」

「じゃんけん」

「「ぽん」」

「…あ、負けた。じゃあ第1Qはテツヤね。
私、第2Q行くから」

「はい」



スターターを決めるじゃんけんは、毎回してる。

私とテツヤは性質が同じだから、一緒のクォーターには出られない。

だから先に出る方を運次第で決めるのだ。



「オレも負けたッス。けど朔夜っちと同じなら嬉しいッス!」

「え〜。涼太と一緒なの〜?」

「超嫌そうッスね!傷つくッスよ!?」

「ジョーダンだよ〜」



第1Qは緑間、大輝、テツヤ、その他の1軍部員。

今日の試合相手は白川中学。実力はまぁまぁ、らしい。

けどさつきが言ってるから、合ってるんだろう。



「頑張ってね〜」

「はい。行って来ます」

「朔夜!ちゃんと活躍見とけよ!!」

「早く行くのだよ!」

「はいはい。行ってらっしゃい」



ホントに個性的なメンバーだねぇ。

まあ、その元気さで頑張って〜。



「それでは帝光中学対白川中学の試合を始めます。
お互いに、礼!!」

「「「「「宜しくお願いします!!」」」」」



さあ、その最強の力を。

見せつけて下さいな。


*****


第1Q、開始2分。



「…朔夜っち」

「うん。気づいてるよ」



白川中の6番。明らかに、ファウルをしまくっている。

審判が気づかないのが不思議なくらいだ。



「さつき〜」

「相手の6番ね。ちゃんとチェックしてるよ」



マネージャー兼私の親友であるさつきは情報収集のエキスパート。

しっかり危険人物のことは調べ上げているらしい。



「白川の6番はPFでね。通称“パワーアタッカー”。とにかく力任せで荒っぽいプレイをしてくるプレイヤーよ。
調べたら、彼が出た試合では必ず打撲等の怪我人が出てるの」

「そりゃまた凄い」

「公式試合だったらアウトなレベルッスよねー」

「あ、峰ちんがやられてる」

「「え、ウソ!?」」



紫原に言われて見れば、確かに大輝が6番に押されていた。

ガツガツと突進され、足を踏まれ、手を叩かれている。



「うわー。ホントに青峰っちがやられてる…」

「…どう思う?赤司」

「確かに少々荒っぽいな。いつファウルと気づかれてもおかしくはない」

「いや、あれは“少々”じゃなくて“結構”荒っぽいから」



お前の比較はどうなってるんだ。

あれを見て“少々”なんて普通言わないから。



「紫原。あの6番、抑えられるか?」

「ん〜。まあ出来ないことは無いけど難しいかな〜?
身長は峰ちんよりちょっと大きいぐらいだから平気だと思うけど、あんまりガツガツぶつかられると重心が軽くなっちゃって押し返されちゃうかも」

「涼太は?相手できる?」

「嫌ッスよ!?痛い思いすんのは!オレ、モデルやってるし!!」

「別に嫌かどうかは聞いてないから。人の話聞けよ」

「紫っちと同じで、出来ないことは無いと思うッス。
けど、あそこまで来られるとちょっと…。青峰っちもあんなんだし」

「まあ、私も正直言って同感だよ。あんなラフプレー慣れしてる奴の相手なんざしたくない」



大輝は自分もファウルをしないように、歪んだ顔でプレイをしている。全然楽しそうじゃない。

緑間もテツヤもフォローはしてるけど、やっぱり厳しいみたいだし。



「あの6番はファウルをすごい速さでやってる。多分、速過ぎて審判の目にも映らないんだよ」

「…あとね、ちょっと気になる噂を聞いたんだけど…。
6番はメンバーの中で一番弱い人を傷付けてるらしくて…」

「そうなると、キセキの世代以外の一軍?」

「確かに、青峰っち以上に攻撃を受けてるッス」

「痛そー」

「のんびりしてるね紫原」



けどその話が本当なら、私は気になる点が一つある。

そう、テツヤだ。



「黒子っちはパスとかスティール以外は全く出来ないッスからね…」

「狙われるとしたら黒ちんもありえる。けどその前に」

「テツ君、ミスディレクションを発動中は見えないから…」

「相手の視界に入っていない可能性の方が高いな」

「だと、いいんだけどな」



危ない第1Qは、白川中の方が4点多いまま終わった。

mae ato
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